第600回 2006年バスケットボール世界選手権(1) 20年ぶりに本大会出場

おかげさまで第600回の連載を迎えることになりました。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。

■ワールドカップイヤーに行われる他競技の世界選手権

 ワールドカップが7月中旬に終了、ゆっくりとバカンスを楽しむ間もなく、8月最初の週にはリーグ戦が再開し、8月16日にはワールドカップ後最初の国際試合が行われ、勝利を収めたフランスサッカー、ワールドカップ準優勝もあり、新シーズンに弾みがつくと思われたが、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦以降の晩夏、フランスのスポーツファンの心はサッカーから再び離れていってしまっている。その理由は男子バスケットボール世界選手権が8月19日から日本で開催されるからである。今年はオリンピックの中間年ということでサッカーのワールドカップ以外に世界選手権の行われる競技がある。その中でも最も注目を集めるのがこの男子バスケットボールの世界選手権である。

■フランスの若い世代に人気のバスケットボール

 本連載でもフランスのバスケットボールについて何回か紹介しているが、フランス、特に若い世代でのバスケットボールの人気はサッカーをしのいでいる。フランス人はワインとチーズと言われたのは過去のことであり、フランスの若者はコーラとマクドナルドである。コカコーラもマクドナルドもサッカーのワールドカップのスポンサーであるが、コカコーラ、マクドナルドとくればバスケットボールである。
 おそらく、開催国の日本では4年前のサッカーのワールドカップに勝るとも劣らない盛り上がりを見せており、日本チームの上位進出だけではなく、空前のバスケットボール人気が日本列島で沸騰しているであろう。ドイツでのサッカーのワールドカップでも日本人観衆の盛り上がりがこれまでの大会に比べて精彩を欠いていたのは日本国内におけるバスケットボール人気の影響であろう。

■本大会が毎年あるバスケットボールなどサッカー以外の競技

 さて、バスケットボールの国別対抗戦というと、4年に一度のオリンピック、同じく4年に一度の世界選手権がサッカーのワールドカップの年に行われる、さらに奇数年には欧州選手権が行われる。バスケットボールの場合はオリンピックもフル代表が出場するため、欧州では毎年代表チーム同士の大会が行われることになる。選手も米国のNBAだけではなく欧州各国の強豪クラブに所属し、クラブレベルではサッカー同様に各国のリーグ戦と平行して欧州カップが争われる。
 このようにサッカー以上に代表チームの戦いが多く、毎年国際大会の本大会があるのはバスケットボールだけではなく、バレーボール、ハンドボールも同様である。さらに6か国対抗のあるラグビーも毎年本大会を戦っていると考えていいだろう。最近のスポーツニュースでトップニュースがバスケットボール関連であるが、毎年本大会のあるスポーツは本大会の時期になると同じような扱いになる。サッカーでもクラブレベルは国内外とも毎年本大会があるわけで、サッカーの代表チームだけが例外的に本大会が2年に一度となっているのである。

■2005年欧州選手権で初のメダルを獲得

 フランスの男子バスケットボールにとって最近の大会は2005年9月のセルビア・モンテネグロで行われた欧州選手権である。この大会でフランスは準決勝で優勝したギリシャに敗れるが、3位決定戦でスペインを破り、見事に銅メダルを獲得する。欧州選手権は1959年にスタートしているが、これが初めてのメダルとなる。その前年のアテネオリンピックは予選落ち、2003年の欧州選手権は4位という成績を残し、欧州でメダル圏内というところまで来ているのがフランスの男子バスケットボールである。
 ところが、そのフランスの男子バスケットボールも世界選手権となると全く振るわない。世界選手権は1950年に始まりこれまでに14回開催されているが、本大会に出場したのがわずか4回である。第1回大会は6位、1954年の第2回大会は4位と上位に進出したが、1959年の第3回大会は予選落ち、1963年大会は5位に入るが、それを最後に長いトンネルに入る。次に本大会に出場したのは1986年の第10回大会のことであるが、この時は13位と惨敗した。そして昨年の欧州選手権で3位に入ったことから今回の世界選手権と来年の欧州選手権の本大会の出場権をフランスは獲得し、20年ぶりの世界選手権出場となったのである。(続く)

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