第622回 2006年女子バスケットボール世界選手権(5) 男子と並ぶ5位、将来に希望

■5位に入った男子バスケットボール

 フランスは準々決勝で、1次リーグ、2次リーグとも全勝の豪州と対戦し、敗退する。53年ぶりのメダルという夢はかなわなかったが、本連載第600回から第606回で紹介したとおり、日本で開催された男子バスケットボールの世界選手権では、フランスは準々決勝でギリシャに敗れてから順位決定戦でドイツ、トルコに連勝し5位に入っている。女子も男子に続いて順位決定戦で好成績を残してもらいたいものである。

■欧州女王のチェコに延長の末、勝利

 順位決定戦の組み合わせはフランス-チェコ、リトアニア-スペインの2試合、その勝者同士が5位決定戦、敗者同士が7位決定戦を戦う。本連載第619回で紹介したとおり、チェコは昨年の欧州選手権の優勝チームでありながら、1次リーグの第1戦でフランスに敗れている。2次リーグではグループFで2位になったものの、準々決勝で開催国のブラジルに敗れて順位決定戦に回ることになった。前年の欧州女王としてフランスに2度敗れるわけには行かない。フランス-チェコ戦は1月前にさいたまで行われた順位決定戦のフランス-ドイツ戦を思い出させるような接戦となった。前半はチェコが第1クォーター20-17、第2クォーター15-11と7点のリードをする。これがチェコにとって最大の得点差となった。第3クォーターに入ってフランスが猛反撃を仕掛ける。第3クォーターでついにフランスが逆転をし、51-50と1点リードして最後の10分を迎える。第4クォーターに入ってもフランスが順調に得点差を広げ、残り6分の段階で9点差をつける。ところが、チェコも欧州女王の意地を見せ、第4クォーターを終了したところで69-69、試合は延長戦となった。延長に入っても接戦となったが、フランスが79-78と1点差で試合をものにする。フランスはチェコを返り討ちし、5位決定戦に進んだのである。

■リトアニアに勝利、5位を確定、欧州勢でナンバー2

 5位決定戦の相手はリトアニア、昨年の欧州選手権では4位に入ったバルトの強豪であり、男子は優勝チームとなったスペインを下してきた。しかし、チェコ戦の勝利でフランスの勢いは止まらなかった。第1クォーターで23-16と大量得点差をつけ、その後も点差をキープし、最終クォーターこそリードを許したものの、合計スコア79-73で勝利し、5位の座を確定する。
 フランスにとって世界レベルの大会で5位という成績は1953年世界選手権の3位には及ばないものの、2000年シドニーオリンピックと並ぶ成績である。さらに今大会でフランスは欧州勢と4回対戦し、チェコ(欧州選手権優勝)に2勝したほか、ロシア(同準優勝)、リトアニア(同4位)にも勝ち、4戦4勝というすばらしい成績を残し、欧州勢の中では準優勝したロシアに次ぐ2番目の成績を残したのである。

■豪州が初優勝、勢力地図を塗り替える

 さて、今大会は世界の女子バスケットボールの勢力図を大きく変えるような結果となった。準決勝は豪州-ブラジルという南半球対決、ロシア-米国というライバル対決となった。準々決勝でフランスを下した豪州がブラジルにも勝つ。そして長年のライバルの対決は劣勢を予想されたロシアが今大会これまで全勝の米国に勝ち、大きな驚きを与えた。決勝は豪州-ロシアというカードとなったが、91-74という大差で豪州が勝ち、初優勝を遂げた。
 世界レベルでの次の大会は2年後の北京オリンピックである。本大会には12チームが出場できるが、開催国の中国に加え、今大会で優勝した豪州が出場権を獲得した。残り10の椅子は来年行われる各大陸別の選手権の優勝国5チームが出場権をまず獲得する。さらに12か国で行われるプレオリンピックの上位5チームが最後のチケットを手にする。プレオリンピックは各大陸別の選手権の優勝国以外の上位チームが出場し、欧州4、北中南米3、アジア2、アフリカ2、オセアニア1という内訳となっている。今回欧州勢で2位となり、準優勝したロシアにも勝っているフランスには来年の欧州選手権の優勝も夢ではない。ブラジルでの戦いは将来に向けて大きな楽しみを与えてくれたのである。(この項、終わり)

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