第762回 アルゼンチンに開幕戦で敗れる(1) 高まる地元優勝への期待

■欧州で本年最大のイベントとなるラグビーのワールドカップ

 今年は奇数年ということで、サッカーの世界ではワールドカップ、欧州選手権の本大会はなく、予選がクライマックスを迎える年である。一方、サッカー以外の種目別のワールドカップや世界選手権の本大会が目白押しとなる年である。陸上の世界選手権が先月末から今月初めにかけて大阪で行われたことは日本の皆様も良くご存知であるが、欧州での最大のイベントはフランスで開催されるラグビーのワールドカップであろう。
 ラグビーのワールドカップについては4年前に豪州で開催された第5回大会を本連載でも取り上げたが、回を追ってその規模、注目度は高まる一方である。すでに日程的な規模については1月半にわたって行われることになり、オリンピック(2週間)、サッカーのワールドカップ(1月間)をしのぐものとなっている。さらにテレビの視聴者数についてもフランスや英国ではサッカーのワールドカップに迫る勢いである。

■2年連続の6か国対抗優勝、直前のテストマッチで3連勝したフランス

 そして前回の豪州大会では5回目にしてようやくイングランドが北半球勢として初めての優勝を飾っている。今回は、一部の試合はスコットランドならびにウェールズで開催されるが、ほとんどの試合はフランス国内で開催される。フランスでのスポーツのビッグイベントは1998年のサッカーのワールドカップ以来のことであり、今後、夏冬のオリンピックの開催もないことから、今世紀初めの唯一のビッグイベントになると想定できる。
 フランスのラグビーに関しては本連載でしばしば紹介してきたが、現段階において北半球5チームの中では頭ひとつ抜けた状態にある。北半球ラグビー界の最大イベントである6か国対抗については2006年に続き2007年も優勝を果たしている。6か国対抗の連覇だけではなく、フランスは大会前の8月の土曜日にテストマッチを3試合行い、11日にイングランドにアウエーのトゥイッケナムで15-11と勝利したのを皮切りに、翌週の18日にはイングランドをマルセイユに迎えて22-9と連破する。さらに25日には本大会の会場となるウェールズのカーディフのミレニアム競技場でウェールズを34-7と大差で下し、3連勝を果たしている。
 開催国の優勝と言うと、9年前のサッカーのワールドカップを誰しもが思い出すが、サッカーのワールドカップの場合、フランスの前評判はフランス国内についてもそれほど高いものではなかった。しかし、今回のラグビーのワールドカップは大きく当時とは状況が異なる。北半球ではナンバーワンの実績を残し、本大会に臨むフランスのフィフティーンに対して、地元開催、地元優勝を望む声は、9年前のサッカーのワールドカップのときとは比べ物にならない。

■開催国ながら「死のグループ」に入ったフランス

 これまでの世界のラグビーは、南半球が優勢でありながら、旧インターナショナルボード8か国が牽引してきた。北半球の5か国(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、フランス)と南半球の3か国(ニュージーランド、豪州、南アフリカ)からなる旧インターナショナルボード8か国は前回のワールドカップでは8強を占めている。今回のワールドカップでも4つのグループリーグに2か国ずつ割り振られている。前回大会でも話題になったように、これらの伝統も実績もある国が有利となるような試合日程も用意されている。北半球でナンバーワンの実績を誇り、開催国であるフランスはさぞかし有利な試合日程かと思われるが、フランスの所属するグループDにはインターナショナルボードから前回大会で死闘を繰り広げ、北半球では実力ナンバー2のアイルランド、そしてアルゼンチンが入っている「死のグループ」なのである。

■苦手のアルゼンチンと開幕戦で対戦

 大会直前のアルゼンチンの世界ランキングは6位である。ちなみに旧インターナショナルボードの8か国以外で世界ランキングのトップ10入りしているのは6位のアルゼンチンと9位のイタリア、10位のサモアである。逆に旧インターナショナルボードでベスト10入りしていないのは11位のスコットランドだけである。
 北半球の雄であり、世界ランキング3位のフランスはこのアルゼンチンを大の苦手としている。これまでの通算の対戦成績はフランスが30勝1分8敗と大きくリードしているが、今世紀に入ってからはフランスが4連敗し、ようやく昨年11月25日に27-26と僅差で勝利して5連敗を免れるとともに、今世紀初めての勝利を上げたことは、本連載の第399回や第644回、第645回で紹介してきたとおりである。そのアルゼンチンとフランスは開幕戦で対戦するのである。(続く)

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