第1183回 2010年デビスカップ決勝 (2) 早春の1回戦でドイツを破る

■ドイツ戦のシングルスはジョー・ウィルフリード・ツォンガとガエル・モンフィス

 デビスカップは3月に開幕したが、フランスのデビスカップチームでシングルスのメンバーとなったのは昨年のジャパンオープンの優勝者であるジョー・ウィルフリード・ツォンガと、今年のファイナリストとなったガエル・モンフィスの2人である。3月初めの段階のATPランキングはツォンガが11位、モンフィスが15位である。シングルスのメンバーの候補としては彼ら以外にリシャール・ガスケ、ジル・シモンなどの人材がいたが、1991年のデビスカップの優勝メンバーであるギ・フォルジュ監督はコンゴ共和国をルーツとする身長188センチのツォンガとカリブ海の西インド諸島をルーツとする身長193センチのモンフィスという長身の2人を選んだ。
 1回戦の相手はドイツ、ドイツのシングルスのメンバーはATPランキング39位のベンジャミン・ベッカーと同30位のフィリップ・コールシュライバーである。ベッカーは往年の名選手ボリス・ベッカーと縁戚関係にはないが、米国の大学に在学中は全米学生チャンピオンに輝いている。また、2006年の全米オープンの3回戦でこの大会限りで引退するアンドレ・アガシに勝利したことで知られる。一方のコールシュライバーは四大大会でコンスタントに好成績を残しており、ドイツのデビスカップチームのメンバーとして7勝をあげている。

■舞台は南仏の軍港、トゥーロン

 デビスカップ1回戦の舞台は南仏の軍港トゥーロンである。5月に開催されるサッカーのユースのトーナメントで有名なこの港町に、今年は一足早く国際大会がやってきた。ビクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」の舞台となったこの町にはかつて1部で活躍したサッカークラブがあったが、1993年に2部に降格し、その後は下位リーグに落ちる一方であり、現在は多少盛り返したものの4部に相当するCFA(フランスアマチュア選手権)に所属している。ラグビーでは強豪チームが存続しているがかつてはマルセイユやニースなどと南仏のサッカーをリードしたチームの没落は残念である。

■モンフィスもツォンガも完勝、フランスは連勝スタート

 かつてはフランスの選手は遅いサーフェイスを好み、クレーでの試合を好んだが、時代は変わり、ツォンガもモンフィスもハードコートを得意としていることはジャパンオープンでの好成績を見ればわかるとおりである。トゥーロンの体育館パレ・デ・スポールはハードコートが用意された。このコートで最初に登場したのはフランスのナンバー2のモンフィスとドイツのナンバー1のコールシュライバーである。胸にフランス国旗をつけたモンフィスはコールシュライバーを圧倒する。第1セット、第2セットを連取し、第3セットはタイブレークになったものの競り勝ち、セットカウント3-0で勝利し、デビスカップでの初勝利をあげたのである。
 第2試合はフランスのナンバー1のツォンガとドイツのナンバー2のベッカーの顔合わせである。これまでにデビスカップ4勝無敗という成績を誇るツォンガはこれまでデビスカップで0勝1敗というベッカーを圧倒する。ツォンガは第1セットと第2セットを連取、第3セットはタイブレークとなり、ベッカーに奪われて1セットを落とした。しかし、第4セットは6-3と危なげなく取り、セットカウント3-1で勝利、フランスは初日のシングルス2試合を幸先よく連勝したのである。

■ダブルスはミカエル・ロドラが登場、フランス1回戦突破

 そして土曜日のダブルスであるが、フランスはダブルスですこぶる成績がいいミカエル・ロドラが登場する。ロドラのデビスカップの戦績は11勝5敗、デビスカップ特有の自称でパートナーが固定しない中でのこの成績は立派である。ロドラはデビスカップでこれまで6人のパートナーと組んできたが、今回は初パートナーのジュリアン・ベネトーである。これまでトーナメントで2勝しているフランスのペアは、コールシュライバーとダブルスのスペシャリストであるクリストファー・カスと組んだドイツのペアを寄せ付けず、3-1で楽勝し、フランスは1回戦を突破したのである。(続く)

このページのTOPへ