第1302回 宿敵ニュージーランドと対戦(1) ワールドカップの予選プールで初の対戦

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップでの過去の対戦成績は2勝2敗

 9月上旬に開幕したラグビーワールドカップ、9月から10月の初めにかけて予選プール4試合、10月初めから10月23日まで決勝トーナメントが行われる。予選プールの最初の2試合で世界ランキング2ケタの日本とフランスに大差で勝利してきたフランスであるが、試合展開は満足のできるものではなかった。そろそろエンジンがフル回転に近くなる予選プール第3戦の相手が世界ナンバーワンの力を誇るニュージーランドである。本連載ではフランスとニュージーランドの戦いを何回か紹介してきたが、ワールドカップでの対戦はこれまで4回、2勝2敗とフランスは健闘している。

■1987年大会決勝で完敗、1999年大会準決勝では逆転勝利

 最初の対戦は第1回の1987年大会の決勝戦、フランスは苦しみながらも劇的な試合で決勝まで勝ち残ってきた。決勝はニュージーランドのオークランドで行われ、地元ニュージーランドが29-9と大勝した。決勝戦で完敗したが、フランスは北半球ナンバーワンのプライドを見せたのである。
 そして2回目の対戦は1999年の第4回大会、ウェールズを主開催国として行われたこの大会、フランスとニュージーランドはロンドンのトゥイッケナム競技場で準決勝を争う。試合前の予想は圧倒的にニュージーランド優勢、その予想通り、前半はニュージーランドが17-10とリードして折り返す。ところがフランスは後半に3トライをあげて逆転し、43-31と、ハイスコアの戦いを勝利し、2回目の決勝に進出する。
 そして3度目の対戦は続く2003年の第5回大会、シドニーのテルストラ競技場で行われた3位決定戦である。準決勝でイングランドに敗れたフランス、豪州に敗れたニュージーランド、不本意な結果で迎えた3位決定戦は、フランスはわずか1トライに終わり、6トライをあげたニュージーランドが40-13と大勝している。

■ミラクルを起こした2007年大会準々決勝

 最新の対戦は2007年大会の準々決勝である。予選プールでアルゼンチンに敗れたフランスは決勝トーナメント1回戦でニュージーランドと対戦する。さらに予選プールで首位を確保できなかったためにフランスは、主開催国のフランスを離れ、ウェールズのカーディフでの対戦となる。この時もフランスが圧倒的不利と言われていた。前半を終えてフランスは終了間際のペナルティゴールのみの3点、ニュージーランドは1トライをあげて13点、10点と言う得点差以上の差があるように感じられてハーフタイムを迎える。ところが後半、フランスが猛烈にチャージし、フランスは20-18と接戦を制したのである。
 このように振り返ってみると、1999年大会の3位決定戦を除外するとフランスが2勝1敗と勝ち越している。また、この2勝は第1回の優勝国ニュージーランドの2度目の優勝をいずれも阻止している。さらにこの2勝は劇的な勝利であり、フランスだけではなく世界のラグビーファンの脳裏に鮮やかに焼き付いていると言えよう。

■オールブラックス戦で燃え尽きた過去2回の勝利

 相手が世界ランキング1位といってもワールドカップではフランスはニュージーランドに対して相性は悪くない。ただ、気がかりなのは過去2回の勝利はいずれも死闘であり、このオールブラックス戦でフランスは燃え尽きてしまったのか、1999年大会は決勝戦で豪州に敗れて準優勝、2007年大会はサッカーの都マルセイユでのイングランド戦に敗れて3位決定戦に回り、アルゼンチンにまたも敗れ、4位に終わっている。
 今回はニュージーランドと史上初めて予選プールで対戦する。世界ランキング1位のニュージーランドと4位のフランスが同じ予選プールに入っていることを奇異に思われる読者の皆様もおられるかもしれないが、組み合わせ抽選会は今からほぼ3年前の2008年12月に行われ、同年11月末現在の世界ランキングをもとにシード順を分けている。当時のフランスは、6か国対抗ではようやく勝ち越し、南半球勢とのテストマッチでも苦戦しており、今回のワールドカップの組み合わせ抽選会は第2シードとして扱われ、オールブラックスと同じグループで争うことになったのである。(続く)

このページのTOPへ