第1349回 室内球技の華、ハンドボール(3) フランス、まさかの第2ラウンド敗退

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■第1ラウンドの成績も通算される第2ラウンド

 前回の本連載では人気実力とも誇るハンドボールのフランス代表が欧州選手権の第1ラウンドでスペインとハンガリーに敗れながらも第2ラウンドに進出したことについて紹介した。ハンドボールの世界選手権、欧州選手権の大会方式はまず第1ラウンドを行い、その上位チームが第2ラウンドに進出する。この際、別の第1ラウンドを戦ったグループと合体して行われ、第2ラウンドでは第1ラウンドで対戦しなかったチームとのみ試合が行われ、第1ラウンドでの成績と合わせて決勝トーナメント進出が決定する。
 フランスの所属するグループCで勝ち抜いた3チームは、グループDで勝ち抜いた3チームとともにグループ2を形成する。グループ2のメンバーはグループCからスペイン、ハンガリー、ロシア、グループDからクロアチア、アイスランド、スロベニアである。第1ラウンドでの結果も通算されるため、第2ラウンド開始の段階で各チーム2試合ずつ消化している。フランスは第1ラウンドでスペイン、ハンガリーに敗れているため、0勝2敗という最低の成績からスタートすることになる。

■最下位からスタートするフランス

 グループ2の開始段階での順位は1位クロアチア(勝ち点4、得失点差+4)、2位はスペインとハンガリー(3、+3)、4位はスロベニア(2、0)、勝ち点ゼロはアイスランドとフランスであるが、得失点差-4のアイスランドが5位であり、フランスは得失点差-6で最下位である。近年の国際大会で優勝を続けているフランスにとってこの結果はまさかの成績である。
 第2ラウンドの上位2チームが準決勝に進出する。すなわち、フランスは優勝をするためには2位までに入らなくてはならず、すでに2位との勝ち点差は3、1勝1分に相当する勝ち点の差を残り3試合で詰めなくてはならない。さらに、2位で並ぶスペインとハンガリーは第1ラウンドで戦っており、直接対決がないのも追うフランスにとっては痛手である。

■スロベニアに勝利するも最下位脱出ならず

 フランスの初戦は1月22日の夕方、グループDで2位だったスロベニアとの対戦である。この日フランスは第2試合の登場となる。第1試合では目標である2位のハンガリーがアイスランドに21-27と敗れている。このハンガリーの敗北はフランスにとって追い風である。しかし、フランスは開始直後から波に乗ることができず、常にスロベニアにリードを許す展開となる。もしフランスがこのスロベニア戦を落とすとなると、上位チームが残り2試合連敗し、フランスが連勝しても、現在の中位チームがフランスよりも上にくる可能性がある。フランスは何とか食い下がり、14-15と1点差でハーフタイムを迎える。後半に入ってようやく調子が出てきたフランスは、最終的にスロベニアを28-26と2点差で下した。フランスは勝ち点2となり、スロベニア、アイスランドと並んだが、得失点差で相変わらず最下位のままで第2戦を迎えることになったのである。

■クロアチアに敗れ、9大会連続でストップした準決勝進出

 1月24日に行われた第2戦もまたフランスは第2試合である。第1試合でスペインはアイスランドを下し、勝ち点を7に伸ばし、準決勝進出を早々と決定する。第2試合に登場するフランスの相手はクロアチアである。クロアチアはグループDの首位であり、前回大会の決勝でのフランスの対戦相手である。クロアチアはこのフランス戦で勝利すれば決勝トーナメント進出が決定し、フランスは引き分け以下だと第2ラウンド敗退第1号となる。このような緊張感の中で試合は始まった。フランスはこの試合も先行を許し、前半半ばの15分経過したところで4-10とリードを許す。そしてスロベニア戦同様追い上げて前半は12-11とかろうじて1点のリードで折り返す。後半に入っても序盤はフランスのペースだったが、中盤にクロアチアの猛攻を受け、あっという間に逆転され、結局22-29と今大会で一番の差をつけられて敗れてしまう。
 フランスは第2ラウンド敗退が決まり、主要国際大会でフランスが準決勝に残ることができなかったのは実に2004年の欧州選手権以来のことである。同年夏のアテネオリンピック以来9大会連続で争ってきた準決勝に届かず、夏のロンドンにこの悔しさをぶつけるのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ