第1371回 凱旋試合となるか6か国対抗(1) 寒波の影響で思わぬ試合順に

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■サッカー・フランス代表の最大のライバルはラグビー・フランス代表

 本連載の第1365回から第1367回にかけてフランス代表のドイツ代表との親善試合について取り上げ、世界ランキング2位のドイツに敵地で勝利したフランス代表が18試合連続無敗であることを紹介した。今年は3月末にインターナショナルマッチデーが設定されていないこともあり、次のフランス代表の試合は欧州選手権直前の5月末まで行われない。好調を持続するフランス代表にとって、現在の最大の敵はスペイン代表かもしれないが、それ以上の強敵が国内にある。それはラグビーのフランス代表である。昨年9月から10月にかけてニュージーランドで行われたワールドカップでは昨年来の低迷を引きずった序盤戦から一転して決勝トーナメントでは快進撃、予選プールで叩きのめされたニュージーランド相手に決勝戦では大接戦を演じ、3回目の銀メダルを獲得した。フランス国民はフランス代表のフィフティーンの活躍に熱狂したのである。

■フランスだけではないワールドカップ効果

 同時期にサッカーのフランス代表も欧州選手権予選を首位で突破しているが、完全にラグビーのフランス代表の陰に隠れてしまう結果となった。その人気絶頂のラグビーのフランス代表が久しぶりにフランス国内に戻ってくる。早春の欧州スポーツ界の大イベントである6か国対抗が2月初めから3月中旬まで繰り広げられるのである。
 そして今回のサッカーのドイツ戦もフランス国民にとっては「ラグビーの6か国対抗の期間中の平日の夜に行われる親善試合」という位置づけにしかならない。日本でも今シーズンは、ラグビーの日本選手権の準決勝と決勝が、収容人員の少ない秩父宮ラグビー場にかわり、国立競技場で開催されていたように、昨年のワールドカップ効果が絶大であったことを日本の皆様も感じられていることであろう。

■寒波により、2月11日のアイルランド戦が延期に

 さて、ワールドカップで準優勝したフランス代表の凱旋となる今年の6か国対抗について紹介していくことにしよう。
 まず、フランスの日程であるが、2月4日にホームでイタリアを迎え撃つ。その翌週の11日もホームのアイルランド戦、1週間隔をあけて2月26日のアウエーでのスコットランド戦である。また1週あけて3月11日のホームでイングランド戦、最終戦は3月18日にウェールズとアウエーで戦う。ところが、寒波の影響で第2戦のアイルランド戦が延期になり、3月4日に行われることになった。この日程変更により、フランスにとっては思わず対戦順となった。

■弱い相手から順に対戦するフランス、最終戦はウェールズ

 6か国対抗に出場する欧州各国の昨年のワールドカップの成績を振り返ると、第1戦で戦うイタリアは予選プール敗退、第2戦のスコットランドも予選プール敗退であり、そして第3戦の相手のアイルランドは予選プールで豪州を破り首位で突破し、ベスト8に進出している。第4戦の相手のイングランドもまた予選プールを首位で通過し、決勝トーナメントでフランスと対戦し、フランスが19-12で勝利したことは本連載第1311回と第1312回で紹介したとおりである。今季の6か国対抗のフランスの最終戦の相手となるウェールズは、予選プールは南アフリカに次ぐ2位通過であったが、若きタレントたちは大会が進むにつれてその才能を開花させ、準々決勝(決勝トーナメント1回戦)では劣勢が予想される中、アイルランドに22-10と完勝、そして準決勝ではフランスと対戦する。本連載の第1313回から第1314回で紹介したとおり、序盤に主将のサム・ウォーバートンをレッドカードで失い、1人少ないながらも積極果敢にフランスを攻め、防戦一方でノートライのフランスが9-8と辛うじて勝利している。ウェールズは3位決定戦でも豪州相手に18-21と接戦を演じ、4位に甘んじたが、北半球勢ではフランスの次ぐ2番目の成績を残している。
 このように今年の6か国対抗の日程を見ると、フランスは序盤戦でイタリア、スコットランドいうと比較的組しやすい相手と戦い、中盤でアイルランド、イングランドという決勝トーナメントに進出した強豪と対戦し、最終戦でフランスと並ぶ北半球の両横綱といえるウェールズと対戦、次第に強い相手と対戦していくことになったのである。(続く)

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