第1373回 凱旋試合となるか6か国対抗(3) イタリアとスコットランドに連勝

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップ7大会連続で予選プール敗退のイタリア

 フィリップ・サンタンドレ新監督の初陣は2月4日、スタッド・ド・フランスでのイタリア戦である。イタリアはワールドカップでは予選プールでは米国とロシアには勝利し、アイルランドと豪州に敗れ、2勝2敗で予選プール3位、日本やルーマニアと同様、7大会連続で予選プールで敗退しているが、昨年の6か国対抗でフランスを破ったことは本連載でも紹介してきたとおりである。
 イタリア代表は南アフリカ人のニック・マレットに代わり、新監督にフランス人のジャック・ブルネルを招聘し、新監督の下での再出発となるが、フランス同様ほとんどのメンバーはワールドカップ組である。

■イタリアをノートライに抑え、代表デビューのウェスレイ・フォフォナもトライ

 スタッド・ド・フランスには7万9000人を超える大観衆が集まった。そしてフランス代表の先発メンバーはプロップのバンサン・デュバティ、ジュリアン・マルジウ、センターのウェスレイ・フォフォナ以外は全員昨年のワールドカップメンバーである。もちろんこれらの新戦力も注目であるが、スタンドオフにはフランソワ・トラン・デュックが入る。昨年のワールドカップでも前半戦は背番号10をつけて司令塔を任されたが、後半戦はダビッド・スクレラが負傷したにもかかわらず、本職がスクラムハーフのモルガン・パラにその座を奪われてしまった。そのトラン・デュックがこのイタリア戦では活躍する。フランスはペナルティゴールで先制しながらもドロップゴールで追いつかれ、3-3というロースコアで並んでいた21分、トラン・デュックからの攻撃が実り、オーレリアン・ルージェリが勝ち越しのトライを奪う。その後もフランスは得点を重ね、終盤にイタリアの選手がシンビンで1人少なくなったこともあり、4トライをあげ、イタリアをノートライに抑え、30-12と快勝する。フランスの最後のトライはこの日が代表デビューとなったフォフォナが記録し、幸先良いスタートを切ったのである。

■寒波の影響でアイルランド戦は延期

 ホームで白星を挙げたフランスはその翌週もホームでアイルランドと戦う予定であった。アイルランドは昨年のワールドカップでは決勝トーナメントに進出している力のあるチームである。今年の6か国の前半戦の山場とも言えるカードであった。しかし、本連載第1354回で紹介したとおり、今年の欧州は記録的な寒波が襲来し、フランスも1月末から2月初めにかけてその影響を受けている。スタッド・ド・フランスでは2月4日のイタリア戦こそ乗り切ったものの、2月11日のアイルランド戦は前日に降雪があり、試合開催が危ぶまれた中で決戦の日となる。スタッド・ド・フランスには満員の観衆が集まり、緑と青に染まるが、無情にも審判団は試合の中止を決定したのである。

■低迷の続くスコットランドとの接戦を制して連勝スタート

 この結果、フランスの第2戦は2月26日のマレーフィールドでのスコットランド戦となった。スコットランドは1999年が最後の優勝であり、6か国対抗となってから一度も優勝しておらず、旧5か国の中で一番優勝から遠ざかっている。さらに昨年のワールドカップでは7回目にして初めて予選プールで敗退している。スコットランドは第1戦でイングランド、第2戦でウェールズに完敗、元気のない状態でフランスを迎える。
 試合はスコットランドが8分に先制トライ(ゴール成功)をあげ、ペナルティゴールで追加点。それに対してフランスもペナルティからゴールを狙わずトライを狙い、28分にフォフォナがトライで反撃。ゴールも成功し、前半終了間際のペナルティゴールで10-10のタイスコアとなる。
 後半はフランスがペナルティで勝ち越したが、スコットランドは56分にトライ、ゴールも成功し、13-17と逆転される。しかし59分にフランスは好プレーからマキシム・メダールが最後にトライ、ゴールも決まり20-17と逆転する。残り20分の争いとなりスコットランドも粘りを見せるが、メダールの負傷によって交代出場したリオネル・ボークシスがドロップゴールを決めて23-17と突き放す。
 連勝したフランスは、強豪相手との後半戦を迎えることになったのである。(続く)

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