第1758回 2014年バスケットボールワールドカップ(6) 前身の世界選手権も含め初のメダル獲得

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■サッカーと同期間にスペイン、セルビアと対戦

 開催国であり、優勝候補であるスペインを破ったフランス、同日に行われたもう1試合の準々決勝のセルビア-ブラジル戦同様、グループリーグと逆の結果となった。ブラジルで行われたサッカーのワールドカップと同様に期待されたスペイン代表は、準々決勝まで盤石の強さを見せてきたが、フランス戦ではシュートが決まらず、まさかの敗戦となった。
 一方、フランスも課題のリバウンドはそのままであったが、スターター、控えが一体となったゲームで、昨年の欧州選手権の準決勝に次ぐスペイン戦勝利となった。
 さて、この大会中にサッカーの世界では本連載第1746回から第1752回で紹介した通り、フランスはスペイン、セルビアと親善試合を行っており、9月4日にスペインに勝利、7日にセルビアと引き分けている。バスケットボールのワールドカップでは8月31日にセルビア、9月3日にスペインと対戦し、ちょうどサッカーでの親善試合をはさみ、決勝トーナメントに移行し、9月10日にスペイン、12日にセルビアと対戦することになる。グループリーグではフランスはセルビアには接戦の末、74-73と競り勝っている。準決勝のフランス-セルビア戦はマドリッドのスポーツパレスで行われ、セルビアが赤、フランスが白のユニフォーム、フランスのスターターはこれまでと全く同じ5人である。

■第3クォーターまでの大差を挽回するも及ばず準決勝でセルビアに敗れる

 男子のワールドカップが終わると、女子の世界選手権が始まる。女子の代表はちょうど国内で合宿中であり、ちょうどこの日はセルビアと親善試合を行い、69-71で惜敗しており、ホテルに帰ってきてテレビで男子の試合を応援である。  グループリーグでの戦いでは、第1クォーターは互角で第2クォーターにフランスが引き離され、最後に追いつき追い越すという展開であったが、この準決勝、序盤からセルビアがフル回転、第1クォーターはセルビアが21-15とリード、第2クォーターも25-17とリードし、前半を終えて46-32とセルビアが14点の差をつけてリードした。このセルビアの大量リードの理由はシュートの精度の差である。フランスもリバウンドはボリス・ディアウがよく確保するが、第3クォーターもフランスは追い上げることはできず、フランスは14-15とほぼ互角の展開ながら、第3クォーターを終えた時点のスコアは46-61と15点差を追う展開となる。
 第4クォーターはようやくフランスが反撃をし、セルビアを追い上げる。フランスは成功率は悪いが果敢に3ポイントシュートを狙う。この10分間は両チームとも点の取り合いとなる。第4クォーターだけでフランスは39得点をあげるが、セルビアに5点及ばず、85-90と敗れてしまう。フランス男子は女子と同様セルビアに敗れてしまい、3位決定戦に回ることになったのである。

■息詰まる点の取り合い、3位決定戦でリトアニアを下す

 準決勝の翌日に行われた3位決定戦の相手は準決勝で米国に敗れたリトアニアである。フランスは3位決定戦であってもスターターの5人は同じ、バンサン・コレ監督は執念の采配である。この試合、前半は互角の戦いとなる。第1クォーター22-19とフランス、第2クォーターは23-21とリトアニア、前半を終えたところで43-42とフランスが1点リード、ところが第3クォーターに入って均衡が崩れた。リトアニアが逆転し29-21と差をつけ、71-64と7点差で最後の10分を迎える。ここからフランスは猛攻を仕掛け、大逆転、残り30秒となった時点で84-80と4点リード、なおもフリースローを2本決めて残り21秒で86-80、しかしリトアニアも負けじと得点を重ねるが、1点差までは追い上げるが、フランスが逆転を許さない。結局フランスが95-93という接戦をものにし、勝利する。

■12個目のメダルはワールドカップ(世界選手権)で初のメダル

 これまでにフランスはメダルをオリンピックでは3回、欧州選手権で8回獲得しているが、ワールドカップでは前身の世界選手権を含め、獲得したことがなく、フランスにとって記念すべき初メダルとなったのである。(この項、終わり)

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