第1860回 ラグビーの欧州カップ、トゥーロン3連覇 (4) トゥーロン、3年連続の決勝進出

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■サッカーの聖地、ベロドロームで行われたトゥーロン-レンスター戦

 前回の本連載ではクレルモンがイングランドのサラセンズを破って2年ぶり2回目の決勝進出を果たしたことを紹介したが、もう1つの準決勝はその翌日の4月19日にマルセイユのベロドロームでトゥーロンがアイルランドのレンスターを迎え撃つ。サッカーの都と言われるマルセイユ、その聖地ともいう存在のオランピック・ド・マルセイユの本拠地ベロドロームであるが、しばしばラグビーのビッグゲームが行われる。3月28日の国内リーグのトゥーロン-トゥールーズ戦では64,819人が集まり、来年の欧州選手権に向けて改修が終わり、終了人員が増えた新たなベロドロームの観客動員記録を更新した。この日はそれには及ばないものの、35,116人の観衆が集まった。

■直近4年間の王者同士の戦いはペナルティキックの応酬で延長戦へ

 アイルランドのレンスターは2009年、2011年、2012年とこれまでに3回の優勝を誇る強豪である。3連覇を目指すトゥーロンが連覇する前に連覇したのはこのレンスターであった。そういう意味では欧州の2強が紺準決勝で戦うと言っていいであろう。試合はその予想通りの展開となった。
 トゥーロンは国内の選手だけではなく、南半球を含めた国外の選手を多数抱えている。スタンドオフはフランス代表のフレデリック・ミシャラク、しかし、トゥーロンのキッカーは欧州最高のフルバックと言われるウェールズ代表のリー・ハーフペニーである。ハーフペニーが8分にまずペナルティゴールを決めて先制、しかし、レンスターもアイルランド代表のセンターのイアン・マディガンがペナルティゴールを決めて追いつく。両チームとも互角の展開はトライのチャンスすらお互いに与えず、ペナルティゴールによる得点だけが積みあがっていく。マディガンは立て続けに3本のペナルティゴールを決め、ハーフペニーが1本返して、前半はレンスターが9-6とリードして折り返す。後半に入ってハーフペニーが56分、68分とペナルティゴールを決め、トゥーロンが逆転、このまま逃げ切れるかに思えたが、レンスターのマディガンがペナルティゴールを決めて、12―12で80分が過ぎ、試合は延長戦へともつれ込んだ。

■欧州カップ史上3回目の準決勝の延長戦

 欧州カップの準決勝が延長戦に突入したのはこれが史上3回目のことである。1998年のブリーブ-トゥールーズ戦は延長戦に入っても決着がつかず、トライ数の差でブリーブが決勝に進出した。また2009年のレスター(イングランド)-カーディフ(ウェールズ)戦は延長戦を終えても26-26のタイスコア、トライ数も同じであったため、キッキングコンテストでレスターが決勝行きのチケットをつかむ。

■ブライアン・ハバナのこの試合初めてのトライでトゥーロンが大きくリード

 このように過去の延長戦は延長の20分間でも差がつかなかったが、今回の試合も84分にトゥーロンがペナルティゴールで勝ち越すと、86分にレンスターがペナルティゴールで追いつき、89分にペナルティゴールでトゥーロンがリードするという展開であったが、90分になってようやく、3の倍数以外の得点が生まれた。南アフリカ代表のブライアン・ハバナがトライを決める。ハーフペニーのゴールも決まって、25-10と2桁の得点差をつける。レンスターも延長後半の94分にオブライアンがトライを決めるが、レンスターは1ペナルティゴールと1ゴール及ばず、トゥーロンが25-20というスコアで決勝進出を決定した。
 決勝ではクレルモンとのフランス勢同士の戦いとなるが、これまでのフランス勢同士の決勝は2003年のトゥールーズ-ペルピニャン戦、2005年のトゥールーズ-スタッド・フランセ戦、2010年のトゥールーズ-ビアリッツ戦、そして2013年のトゥーロン-クレルモン戦の4回である。トゥーロンとクレルモンは2年前の決勝でも顔を合わせているが、決勝戦で過去の決勝戦と同じカードが再現したのは今年が初めてなのである。(続く)

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