第1881回 ラグビー代表、ワールドカップに向けて始動 (1) 7月の合宿に向けて36人のメンバーを発表

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■南半球遠征のないワールドカップイヤーの6月

 前回までの本連載は6月に行われた女子ワールドカップについて紹介したが、この大会が注目された理由としてフランスの代表やクラブチームの好成績だけではない。それは例年この時期に行われるラグビーの代表チームのテストマッチがないことも大きな理由であろう。ラグビーの代表チームの活動は春と秋のウィンドウマンスという2か月間に限定され、フランスを含む欧州勢の場合は6月に南半球遠征、11月には逆に南半球のチームが欧州に遠征してくる。それとは別に1月から4月にかけてはシーズン中に欧州のナンバーワンを決める6か国対抗が行われる。
 今年はラグビーのワールドカップが開催されるため、6月のウィンドウマンスではなく、8月から9月にかけて代表の試合が行われるため、6月にフランスは南半球遠征を行わず、ローランギャロスが終わってからウィンブルドンまでの間の国際的なスポーツイベントとして女子サッカーのワールドカップが注目を集めたわけである。

■前回ワールドカップの準優勝後、低迷の続くフランス代表

 フランスは4年前のニュージーランドでのワールドカップでは決勝に進出し、ニュージーランドに惜敗している。イングランド開催の今回はそれを上回る成績を残したいところであるが、この4年間の戦績は芳しくない。
 本連載でも6か国対抗やテストマッチについてはしばしば紹介してきたが、6か国対抗に関しては今春は4位にとどまり、2010年以降優勝から遠ざかっている。フランスが6か国対抗、前身の5か国対抗で5年間優勝から遠ざかっているのは1970年代までさかのぼらなくてはならない。名バックスとして名をはせたフィリップ・サンタンドレ監督がニュージーランドでのワールドカップ後に就任したが、その後の勝率は5割に遠く及ばない。
 一方、フランスのクラブは好調であり、本連載第1857回から第1862回で紹介した通り、今年の欧州カップもトゥーロンとクレルモンというフランス勢同士で決勝が争われている。

■7月に合宿、8月にイングランドと連戦

 今年は南半球遠征がないと言っても、今年最大のスポーツイベントとなるラグビーワールドカップに向けてフランスも準備を進めている。5月までは欧州カップが行われ、6月には国内のシーズンが終了するが、7月6日から合宿を行い、8月にはイングランドとロンドンとスタッド・ド・フランスでテストマッチを行い、9月5日にはスコットランドをスタッド・ド・フランスに迎えて大会前最後のテストマッチを行う。

■7月の合宿に向けて36人のメンバーを発表

 最終的にメンバーは31人に絞られるが、サンタンドレ監督は国内リーグのレギュラーシーズンが終わる前の5月20日に7月の合宿に参加する36人のメンバーを発表した。
 プロップは6人が選出され、ウイニ・アトニオ、ニコラ・マス、エディ・ベン・アルー、グザビエ・チョッキ、バンサン・デバティ、ラバ・スリマニ、フッカーはギレム・ギラド、バンジャマン・カイザー、ディミトリ・サルゼウスキーの3人、ロックはアレクサンドル・フランカール、パスカル・パペ、ヨアン・マエストリ、セバスチャン・バアマイナの4人、フランカーとナンバー8の第3列はティエリー・デュソートワール、ベルナール・ルルー、フルジャンス・ウドラオゴ、ダミアン・シューリー、ヤニック・ニャンガ、ロアン・グージョン、ルイ・ピカモールの7人である。
 スクラムハーフはロリー・ココット、モルガン・パラ、セバスチャン・ティルズボルドの3人、スタンドオフはフレデリック・ミシャラク、レミ・タレス、フランソワ・トラン・デュックの3人である。
 センターはマチュー・バスタロー、アレクサンドル・デュムーラン、ガエル・フィクー、ウェスレー・フォファナ、レミ・ラムラの4人、ウィングはソフィアン・ギトゥン、ヨアン・ユジェ、ノア・ナカイタシの3人、フルバックはブリス・デュラン、スコット・スペディングの2人である。
 この36人を発表しただけで、国内には大きな議論が巻き起こったのである。(続く)

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