第1898回 ワールドカップに向けイングランドと連戦(1) トゥイッケナムとスタッド・ド・フランスで対戦

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■8月にイングランドと連戦、31人のメンバーを決定するラグビー

 前回までの本連載では優勝国にリオデジャネイロオリンピックの出場権が与えられる欧州選手権に向けて強化試合を重ねる男子バスケットボールについて紹介してきたが、この秋最大の国際的なスポーツイベントと言えば9月から10月にかけてイングランドで開催されるラグビーワールドカップであろう。
 フランス代表についてはしばしば本連載で紹介してきたが、前回大会で開催国ニュージーランドに決勝で惜敗した後は精彩を欠く4年間となった。本連載で最後にラグビーのフランス代表を紹介したのは第1881回と第1882回の連載であり、5月末に36人のメンバーを発表したことを取り上げた。この36人のメンバーが7月から合宿を行い、イングランドと8月15日にトゥイッケナム、22日にスタッド・ド・フランスでテストマッチを行い、23日に最終の31人のメンバーを発表する。

■開催国として初めて第1シード落ちしたイングランド

 イングランドは開催国であるが、本連載第1486回で紹介した通り、開催国として初めて第1シードから外れ、本大会では豪州、ウェールズという有力国と同じプールAとなった。旧インターナショナルボード8か国のうち3チームが同じ予選プールに入るのは1995年大会でニュージーランド、アイルランド、ウェールズが同じプールになって以来のことである。
 ラグビーの母国の威信にかけて今回のワールドカップは第1シード落ちからチームを立て直し、優勝を果たしたいところである。
 前回のワールドカップでは準々決勝で対戦し、フランスが19-15と勝利したが、以降は6か国対抗での対戦しかなく、フランスの1勝3敗である。この間の6か国対抗の成績はイングランドは4年連続して2位である。一方のフランスは4位が3回、最下位が1回とフランスラグビー史の中でも最も成績の悪い時期であると言えるであろう。欧州のナンバーワンをつかみきれないイングランド、低迷するフランス、この大会直前のテストマッチできっかけをつかみたいところである。

■2003年、2007年大会間の直前にも対戦した両チーム

 ワールドカップ前の8月には出場国が最終調整とメンバー選考を兼ねてテストマッチを行うことが通例であるが、振フランスとイングランドは、2003年大会、2007年大会の直前にホームアンドアウエー形式で対戦している。2003年大会の際はマルセイユでフランス、ロンドンでイングランドとそれぞれホームチームが勝利している。2007年大会の際はロンドンとマルセイユで対戦し、2試合ともフランスが勝利している。
 2011年大会はフランスはこの時期にアイルランドとボルドーとダブリンで対戦し、フランスが連勝している。
 このようにワールドカップ直前の強化試合でのフランスの成績は概して好調であり、本大会でも優勝こそ果たせていないが、上位に進出し、北半球の中では最も安定した成績を残しているチームである。
 ワールドカップ本番ではそれなりの成績を残すことができるとファンは思っていたが、この4年間の6か国対抗や南半球遠征の結果を考えると不安を持たざるを得ない。

■注目のハーフ団は4人がベンチ入り

 第1戦は8月15日、トゥイッケナムでの試合である。この試合にベンチ入りできるのは25人である。第1881回と第1882回の本連載で取り上げたとおり、ファンの注目はハーフ団である。伝統的に優秀なハーフ団を輩出してきたフランスであるが、この4年間の低迷はひとえにこのハーフ団が定着しないことにあったと言えるであろう。36人のメンバーの中にはスクラムハーフにはロリー・ココット、モルガン・パラ、セバスチャン・ティルボルドの3人、スタンドオフにはフレデリック・ミシャラク、レミ・タレス、フランソワ・トラン・デュックの3人が登録されているが、ロンドン遠征にはスクラムハーフのココットとパラ、スタンドオフのタレスとトラン・デュックが選ばれ、ティルボルドとミシャラクはベンチ入りメンバーから外れたのである。(続く)

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