第1902回 国内ラグビーもシーズン開幕

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■シーズン中に行われるラグビーのワールドカップ、6か国対抗

 前回までの本連載は9月に始まるワールドカップを控え、ラグビーのフランス代表がイングランド代表と親善試合を2試合行い、ワールドカップに出場する31人のメンバーを決定したことを紹介した。
 サッカーのワールドカップ、欧州選手権がシーズン終了後のオフの期間に行われるのとは異なり、ラグビーのワールドカップはシーズン中の9月から10月にかけて行われ、欧州、すなわち北半球のナンバーワンを決める6か国対抗も早春のシーズン中に行われる。

■欧州のトップクラスのリーグ、フランスのTOP14

 これらの時期において代表チーム以外のクラブチームは試合がないのではなく、リーグ戦を行っている。
 フランスリーグの1部は14チームからなりTOP14と呼ばれている。歴史は古く、最初のシーズンは1891年に始まっており、サッカーのフランスリーグより40年も早く始まっている。そして、実力的には、本連載でもしばしば紹介してきたとおり、サッカーのチャンピオンズリーグに相当するヨーロッパカップではイングランドのプレミアリーグと並び優勝、準優勝の常連である。今季も欧州カップは20チームで争われるが、そのうち6チームはフランス勢であり、スタッド・フランセ、クレルモン、トゥールーズ、トゥーロン、ボルドー・ベグレ、オヤナックスが参戦する。

■世界の一流選手が目白押し

 そして外国人選手も以前はルーマニアやイタリアなど欧州の準一級の国の代表選手が多い時期もあったが、現在は南半球から大スターを抱えている。その代表がニュージーランド代表のスタンドオフ、ダン・カーターである。ニュージーランドのクルセイダーズから今季ラシン92に移籍している。ラシン92は前回の本連載で紹介した同じスタンドオフのレミ・タレスをカストルから獲得しているが、タレスは控えに甘んじるであろう。フランス代表クラスの選手が控えに甘んじるほどのレベルのクラブが目白押しである。そして同じくニュージーランド代表のマア・ノヌーもハリケーンズからトゥーロンに移籍してきた。トゥーロンは本連載第1888回で紹介した通り、昨季の欧州チャンピオンである。そして昨季のフランスチャンピオンはスタッド・フランセ、この古豪には南アフリカのシャークスからウィレム・アルバート、豪州のレッズからウィル・ゲニアが加わった。豪州からは他にアダム・アシュリー・クーパーがワラタスからボルドー・ベグレに移籍している。
 ワールドカップイヤーに南半球の選手が欧州に移籍するのはサッカーでは通常の光景であるが、今年のフランスはこの傾向が顕著であり、フランスのクラブの経済力がそれを支えていると言えるであろう。

■イングランド戦の前日に開幕、決勝はスペインのバルセロナ

 フランスラグビーの1部リーグに相当するTOP14はホームアンドアウエー方式でリーグ戦を行い、上位6チームによってポストシーズンのプレーオフが行われる。第1節は代表チームのイングランドとのテストマッチ第2戦と同じ週末に行われ、8月21日のトゥーロン-ラシン92戦で開幕する。
 第2節は翌週の8月最後の週末に行われ、9月11日と12日に行われる第4節でいったん中断し、再開は10月16日となる。ワールドカップでは予選プールが終わった段階であり、予選プールで敗退した国の代表選手はイングランドでのワールドカップ期間中に所属クラブに戻り、リーグ戦を戦う。また、6か国対抗の期間中も、代表の試合は隔週末に行われるが、代表戦のない週末にはリーグ戦が行われる。
 そして26試合のレギュラーシーズンが終了するのは来年6月の初めである。レギュラーシーズンの後、リーグ戦の上位6チームによるノックアウト方式のプレーオフで優勝チームを決めるが、この決勝戦が行われるのは6月24日である。あたかもサッカーの欧州選手権の期間である。国内の主要会場は欧州選手権に使われているため、スペインのバルセロナ、ノウカンプ競技場でフランスチャンピオンを決定するのである。(この項、終わり)

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