第1917回 欧州勢相手に順調に連勝(6) バックス陣全開、ルーマニアから5トライを奪う

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスのクラブに所属する選手が5人先発したルーマニア

 欧州第2代表のルーマニア、現在も多くの選手がフランスのクラブに所属する。このフランスとの一戦、フロントローの3人は左からミハイタ・ラザール(カストル)、オタール・チュラシビリ(コロミエ)、パウリカ・イオン(ペルピニャン)と全員がフランスのクラブに所属する。そして左フランカーのヴァレンティン・ウルサシュ(オヨナックス)、ナンバーエイトで主将のミハイ・マコベイと5人がフランスのクラブの選手である。それ以外に国外のクラブに所属する先発メンバーはフルバックのカタリン・フェルク(サラセンズ:イングランド)だけであり、残り9人は国内クラブの選手である。

■夏以降出番の少ない選手を多数先発させたフランス

 そしてフランス、フロントローは左からバンサン・デバティ、ディミトリ・サルゼウスキー、ウイニ・アトニオ、ロックはベルナール・ルルーとアレクサンドル・フランカール、フランカーは左にヤニック・ニャンガ、右にフルジャンス・ウドラオゴ、ナンバーエイトはルイ・ピカモール、ハーフ団はスクラムハーフにモルガン・パラ、スタンドオフにレミ・タレス、スリークォーターバックは左からノア・ナカイタシ、ウェスレー・フォファナ、ガエル・フィクー、ソフィアン・ギトゥン、フルバックはブリス・デュランと夏以降ほとんど試合に出ていないメンバーが数多くメンバー入りした。イタリアとの戦いを勝利で終え、ルーマニア、カナダという相手との連戦で主力に休養させ、最後のアイルランド戦に照準を合わせるというフィリップ・サンタンドレ監督の狙いであろう。
 主将はフッカーのサルゼウスキー、そして司令塔となるタレスが先発するのは2014年6月の豪州戦以来15か月ぶりのこととなる。

■ソフィアン・ギトゥンのトライで火が付いたフランスの攻撃

 フランスの優勢が予想されたが、序盤は手堅い試合展開となる。フランスは3分にオフサイドで得たペナルティ、パラがゴールを狙い、3点先制する。しかしルーマニアも19分にフランスを攻め込み、インゴールにボールを持ち込むが、トライは認められず、ペナルティが与えられる。20分にルーマニアはペナルティゴールで追いつき、試合が4分の1経過した時点でタイスコアとなり、フランスが目指す4トライ以上のボーナスポイントも危うい状態である。
 しかし、フランスは強みのモールから初トライをあげる。31分、ルーマニアのゴールライン前5メートルからのモールで攻め込んだフランスはパラがバックスに展開、最後はギトゥンが右隅にトライ、パラが難しい角度からのゴールを決めて、10-3とリードする。これでフランスの攻撃に火が付いた。34分にはバックス陣が自陣から果敢にカウンターアタック、ギトゥンからデュランにつなぎ、大きく前進、最後はフランカーのニャンガが右隅にトライ、パラはまたゴールを決めて、17-3とリードを広げる。前半は終了間際にルーマニアがペナルティゴールを返し、17-6で折り返す。

■4トライをあげてボーナスポイントを獲得したフランス

 後半もフランスは攻め続け、66分にパラからバックスに展開し、ギトゥンがこの試合2本目のトライ、ワールドカップで1試合2本以上のトライは13人目の快挙である。この日好調なバックス陣は69分にフォフォナがトライをあげる。これでフランスは4本目のトライとなり、ボーナスポイントを獲得する。ルーマニアは74分に1トライ返したものの、フランスは試合終了直前にラインアウトからパラに代わって出場したロリー・ココットがバックスに展開し、センターのフィクーがゴール真下にトライ、ココットがゴールを決めて、フランスは38-11と勝利する。イングランドとのスタッド・ド・フランスでの第2戦、スコットランド戦、イタリア戦に続き、このルーマニア戦で欧州勢相手に4連勝となる。サンタンドレ体制になってから4連勝は1回だけ、2012年秋のアルゼンチン、豪州、アルゼンチン、サモアとの戦い以来であり、続くカナダ戦、アイルランド戦、さらには決勝トーナメントが楽しみになってきたのである。(この項、終わり)

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