第1995回 試練の続くラグビーフランス代表 (7) イングランドのグランドスラムを許し、5年連続Bクラス

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■試合前に3位以下が確定したフランス

 ギ・ノベ新体制になり、最初の国際試合となる6か国対抗、イタリア、アイルランドに連勝し、優勝の可能性もあったが、ウェールズ、スコットランドに連敗、イングランドが4連勝したことで優勝はイングランドのものとなった。
 最終節となる3月19日はフランス時間で15時30分からウェールズ-イタリア戦、18時からアイルランド-スコットランド戦、そして21時からフランス-イングランド戦が行われる。ウェールズがイタリアに勝利し、最終成績を3勝1分1敗として2位を確定、また、アイルランドがスコットランドに勝利し、アイルランドの最終成績は2勝1分2敗、スコットランドは2勝3敗という成績で全日程を終えた。
 フランスは3位以下が確定した状態でイングランド戦を迎えるが、最終戦のイングランド戦の舞台はスタッド・ド・フランス、地元の大観衆の前でイングランドのグランドスラムを阻止しなくてはならない。

■経験のある選手を多数起用した中で新人のジェファーソン・ポワロとビルミ・バカタワ

 第1列はジェファーソン・ポワロ、主将のギレム・ギラド、ラバ・スリマニ、第2列はアレクサンドル・フランカールとヨアン・マエストリ、第3列は左からダミアン・シュリー、ロアン・グージョン、ベルナール・ルルー、ハーフ団はマキシム・マシュノーとフランソワ・トラン・デュック、スリークォーターバックは左からビルミ・バカタワ、マキシム・メルモズ、ガエル・フィクー、ウェスレー、フォファナ、スコット・スペディングというメンバーであり、キャップ数が30を超えるのはギラド、マエストリ、シュリー、トラン・デュック、メルモズ、フォファナと6人に上る。前回の本連載で紹介したスコットランド戦に増して経験のある選手を多数起用することになった。
 一方、新体制下で代表入りした選手の多くはベンチスタートであったが、その中でポワロとバカタワは5試合すべてに出場、特にバカタワは全試合で先発メンバーとなっている。いかにバカタワが非凡な才能を持った選手であるかがお分かりであろう。

■イングランドも経験者を中心に必勝の布陣

 一方のイングランドも13年ぶり13回目のグランドスラムのために必勝態勢、ベテラン中心の布陣でフランス戦に臨む。先発15人のうちキャップ数30以上は8人に上る。その中でロックのマロ・イトジェが唯一の新人としてこの大一番の先発メンバーとなる。イトジェはナイジェリアを出自とする21歳、2014年の20歳以下の世界選手権優勝時の主将であり、抜群の身体能力が以前から注目され、ラインアウトではしばしばスチールする。

■マキシム・マシュノーのキックも及ばず、ノートライで敗戦

 しかし、イトジェは開始早々に反則を犯し、マシュノーが先制のペナルティゴールを決める。イングランドもオーウェン・ファレルがペナルティゴールを決めてすかさず追いつく。そして12分にイングランドのスクラムハーフのダニー・ケアがラックから抜け出して独走し、トライ、ゴールも決まる。またこの直後にトラン・デュックが負傷で退場しスタンドオフの位置をジュール・プリソンに譲る。イングランドは20分にもフランスのディフェンスがミスマッチとなったところからプロップのダン・コールがトライを決める。対するフランスはキッカーのマシュノーが手堅くペナルティゴールを決め続け、前半は12-17と射程距離の中でハーフタイムを迎える。
 後半の最初の得点はフランスであった。バカタワの突進をイングランドはペナルティで止めるしかなく、マシュノーのキックで2点差に迫る。その後も両方がペナルティゴールを決めたが、試合を決めたのは56分にイングランドのビリー・ブニポラの突進からアンソニー・ワトソンの決めたトライであった。結局フランスはマシュノーは7つのペナルティゴールを決めたものの、ノートライに終わり、21-31で敗れる。
 この結果、フランスは最終的には2勝3敗、得失点差でスコットランドに及ばず5位という結果に終わり、5年連続のBクラスとなる。内容的には悪くなかったものの、得点につながらず、苦難の時代が続くのである。(この項、終わり)

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