第2260回 ベルギーに競り勝ち、16年ぶりのデビスカップ優勝 (5) 初日は両国のエースの勝利で1勝1敗

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■デビッド・ゴファン、世界ランキング7位の実力を見せつける

 デビスカップ決勝の第1ラバーはフランスのナンバーツーのルカ・プイユとベルギーのナンバーワン、ダビッド・ゴファンの顔合わせとなり、これまでプイユが3戦全勝と相性のいい相手であったが、大一番の世界ランキング7位は違った。
 ミスター・ノーパニックというニックネームのあるゴファンは、ミスを起こしても沈着に立て直す能力を持っている。そしてこの日のファーストサービスの成功率は83%であり、サービスエースは実に12本。一方のプイユは地元ということもあり、緊張してしまったのであろうか、ファーストサービスの成功率は62%にとどまった。プイユは1ゲームをブレイクすることができず、プイユに勝機はない。第1セットこそプイユは5-7と善戦したが、第2セットは3-6、第3セットは1-6と勢いに乗ったゴファンを止めることができず、2時間弱で勝負はついた。4回目の対戦にして初めてプイユはゴファンに敗れてしまったのである。

■油断できないベルギーのナンバーツーのスティーブ・ダルシス

 そして第2ラバーはフランスのナンバーワンのジョー・ウィルフリード・ツォンガがベルギーのナンバーツーのスティーブ・ダルシスとのベテラン対決となる。世界ランキング15位のツォンガに対し、ダルシスは76位とかなりの差がある。しかし、ダルシスは今年の5月には世界ランキングを自己最高の38位まで上げたという実績があること、そしてツォンガは今シーズンは家族の出産などでコートから遠ざかっており、年間を通してベストのコンディションではない。一方のダルシスは今年のデビスカップには1回戦からフルに出場してきた。そして油断してはならないのが、ダルシスは5セットマッチの試合にめっぽう強いということである。2013年のウィンブルドンではスペインのラファエル・ナダルを破ったこともある。これまでのデビスカップチームでの成績が16勝6敗というのは世界ランキングが50位以下の選手のものではないであろう。世界ランキングで最高5位となったことのあるツォンガですら17勝6敗、プイユに至っては負け越している。

■初対決となるジョー・ウィルフリード・ツォンガとダルシス

 32歳のツォンガと33歳のダルシスであるが、不思議なことにこれまで対戦がない。今世紀初めに両者がジュニア時代に2回対戦し、1勝1敗という記録が残っているだけである。隣国のトッププレーヤー同士が15年以上対戦がないというのも不思議であるが、最初の対戦がいきなり5セットマッチの試合、そしてそれがデビスカップ決勝というのも興味深い。

■準決勝の再現、ツォンガがストレート勝ちでフランスがタイに追いつく

 フランスのプイユが第1ラバーを落としたところでツォンガ登場というのは準決勝のセルビア戦と同じ展開である。そしてフランスの誇るエースは準決勝と同様の活躍をし、フランスのファンの声援に応えたのである。準決勝でのツォンガの活躍は本連載第2232回で紹介したが、初対決のラスロ・ジェレをストレートで下し、第1ラバーを落とした直後の第2ラバーとして出場した試合の戦績を4勝1敗とした。
 舞台も同じピエール・モーロワ競技場、まったく準決勝の再現となった。ツォンガはダルシスを全く寄せ付けず、第1セットは6-3、第2セットは6-2、そして第3セットは6-1とストレートで勝利する。フランスのベンチには今年のデビスカップに出場したジル・シモン、ニコラ・マユ、ジュリアン・ベネトーも駆けつけ、まさに大将と言えるツォンガの勝利に拍手を送ったのである。
 ストレートで勝利したツォンガの試合時間はわずかに1時間46分、ゴファンが勝利した試合の1時間59分よりさらに短く、初日のシングルスは両国のナンバーワンがストレートで勝利し、1勝1敗となった。デビスカップの行方は2日目のダブルス、3日目のシングルスへと委ねられることになったのである。(続く)

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