第2425回 最後の王座を逃したフランス(7) 2年ぶりの決勝進出となるクロアチア

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■最後の決勝で優勝を決めたいフランス

 スペインを破り2年連続でフランスは18回目の決勝に進出した。この決勝はフランスにとっていろいろな意味がある。これまでの優勝回数でフランスは米国の32回、豪州の28回に次ぎ、10回で英国と並んでおり、11回目の優勝を遂げて英国をかわして歴代3位の優勝成績を残したいところである。そして107回目にして最後のデビスカップ決勝となるということであり、デビスカップの改革反対派の急先鋒であるフランスは意地を見せたいところである。

■初代王者、最多優勝の米国に競り勝ったクロアチア

 フランスの相手はクロアチアである。奇しくも7月のサッカーのワールドカップ決勝と同じ顔合わせとなった。クロアチアは1回戦でカナダ、準々決勝でカザフスタンを破り、準決勝で米国と対戦した。デビスカップの初代王者にして最多優勝回数を誇る米国との対戦となる。クロアチアは1993年にデビスカップに初めて出場したが、それ以降米国と4回対戦し、いずれも新興のクロアチアが勝利している。伝統国の意地を見せたい米国との対戦は最終の第5ラバーまでもつれた。準決勝までの14カードで第5ラバーで勝敗が決したのは準々決勝のスペイン-ドイツ戦とこのクロアチア-米国戦のみである。この米国戦はクロアチアのホームのザダルで行われた。
 このザダルでの戦い、クロアチアは初日のシングルスを2試合ともストレート勝ちしたが、そこから厳しい展開となる。2日目のダブルスではフルセットの末に敗れてしまう。最終日のシングルスもエース対決でマリン・チリッチが逆転負けしてしまう。第5ラバーはクロアチアのボルナ・チョリッチが米国のフランシス・ティアフォーと対戦、1-2とリードされたが、第4セットで追いつき、最終試合の最終セットで決勝進出が決まるという展開となった。最終セットはチョリッチが奪い、クロアチアが決勝に駒を進めた。

■2005年に初優勝

 クロアチアが決勝を戦うのは3回目である。最初は2005年のこと、決勝ではスロバキアと対戦、この時も日曜日のシングルス第2試合、第5ラバーまでもつれる試合となったが、マリオ・アンチッチがストレート勝ちし、初優勝を果たし、旧ユーゴスラビアから独立した国の中で初めて栄冠をつかんだ。

■準決勝でフランスに勝利するも、決勝でアルゼンチンに敗れた2016年

 2回目の決勝は2016年のことである。1回戦で前年度準優勝のベルギーを3勝2敗でしりぞけ、準々決勝も米国に3勝2敗と競り勝つ。ベルギー戦も米国戦も第5ラバーに出場したチョリッチの勝利で次のステージに進んだ。準決勝はフランスと対戦、シングルスのメンバーはクロアチアはチョリッチとチリッチ、フランスはルカ・プイユとリシャール・ガスケが出場し、初日はガスケとチリッチという両国のナンバーワンが勝利し、1勝1敗、2日目のダブルスでフランスはピエール・ユーグ・エルベールとニコラ・マユのペアで臨むが、クロアチアはエースのチリッチが出場し、イワン・ドディグと組み、フランスペアから勝利をあげる。3日目の第4ラバー、エース対決でチリッチがガスケを退けて、最終ラバーを残してクロアチアが決勝進出を決める。なお、これが直近のフランスとクロアチアの対戦であるが、クロアチアで行われたため、今回の決勝はフランス国内で行われる。
 決勝の相手はアルゼンチン、これが5回目の決勝であるが過去4回はいずれも敗れている。クロアチアのチリッチ、アルゼンチンのホアン・マルタン・デルポトロという両国のエースに注目が集まったが、初日のシングルスは両エースが出場し、1勝1敗となる。2日目のダブルスには両エースが出場したが、クロアチアがとって2勝1敗と王手をかける。一気に優勝を決めたいクロアチアは第4ラバーのナンバーワン対決でチリッチが2セットを連取、しかし、ここからアルゼンチンのエースのデルポトロが3セットを連取して大逆転勝ち、勢いに乗るアルゼンチンは第5ラバーでフェデリコ・エルボニスがイボ・カロビッチにストレート勝ちし、初優勝を決めた。クロアチアはそれ以来2年ぶりの決勝となるのである。(続く)

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