第2424回 最後の王座を逃したフランス(6) 今季で引退するジュリアン・ベネトー、ダブルスに出場し勝利

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ダブルスはニコラ・マユとジュリアン・ベネトーが出場

 初日のシングルス2試合に連勝して決勝進出に王手をかけたフランス、土曜日のダブルスで一気に勝利を決めたいところである。
 ダブルスに出場するのはフランスがニコラ・マユとジュリアン・ベネトー、スペインはフェリシアーノ・ロペス、マルセル・グラノイェルスである。フランスのデビスカップチームのペアというとマユとピエール・ユーグ・エルベールが1回戦のオランダ戦、準々決勝のイタリア戦で勝ちを重ねてきた。昨年の1回戦の日本戦でも内山と杉田のペアにストレート勝ちしており、日本の皆様は良くご存じであろう。しかし、今回のスペイン戦にはベネトーを起用した。
 マユ、ベネトーはともに36歳、合わせて72歳、スペインもロペスが36歳、グラノイェルスが32歳とコート上の4人はいずれもベテランぞろいとなった。

■今年限りで引退するベネトーの得意なハードコート

 今シーズン限りで現役からの引退を表明しているベネトーはATPツアーではシングルスのシルバーメダルコレクターである。2010年にデビスカップチームに入り、シングルスとダブルスの両方に出場してきた。ダブルスで最初のパートナーはミカエル・ロドラ、それからリシャール・ガスケ、そして2015年からはマユとペアを組んでいる。マユとのコンビでは2015年1回戦のドイツ戦、2017年準々決勝の英国戦に出場し、これまで2戦2勝である。また、ベネトーはハードコートを得意としており、これまでダブルスでは12試合戦っているが、ハードコートは7戦全勝、クレーコートは1勝4敗と対照的な成績を残している。今回はラファエル・ナダルの出場を見越してフランス側がハードコートを準備したため、ハードコートを得意とするベネトーの起用となったのであろう。
 さらに、ベネトーはマユとこれまでに228試合でペアを組んでいる。その戦績は144勝84敗である。これはスペインのロペス、グラノイェルス組がわずか14試合しかしていないのとは対照的である。さらにロペス、グラノイェルス組の戦績は4勝10敗と大きく負け越している。スペインはダブルスのメンバーが固定しないところが悩みである。

■フランスペアがスペインを圧倒し、決勝進出

 前評判通りにダブルスはフランスの一方的な展開となった。まず第1セット、フランスは相手に1ゲームも渡すことなく、わずか18分で6-0と先取する。第2セットはスペインが反撃に出たものの、フランスが6-4と連取する。第3セットは6-6となり、タイブレークになったものの、これをフランスが制し、ベネトーとマユのペアは2時間3分で勝利をつかみ、フランスは最終日のシングルスを残して決勝進出を決めたのである。フランスはこれで昨年の1回戦から7連勝を飾るが、フランスがデビスカップで7連勝したのは2001年から2002年にかけて以来のことである。なお、これまでの記録はワールドグループ創設以前の1927年から1932年にかけての11連勝である。

■決勝の相手はクロアチア

 さて、土曜日で勝敗が決してしまったため、日曜日のシングルスは3セットマッチ、最終セットはタイブレークで行われることになった。日曜日のチケットを買っていたファンにとってはすでに実質的な勝敗が決してからの試合とあって興ざめすることになった。 第1試合の第4ラバーにはフランスはリシャール・ガスケ、スペインはアルベルト・ラモス・ビノラスとここまで出番のなかった選手が登場する。第1セットはガスケ、第2セットはラモス・ビノラスが取り、タイブレーク方式の最終セットはラモス・ビノラスが14-12と取る。最終戦の第5ラバーはマユとグラノイェルスというダブルスに出場した選手同士が出場、最も消耗度の少ない選手同士の戦いとなり、これも最終セットのタイブレークとなり、グラノイェルスが勝利した。
 そして気になる決勝の相手であるが、もう1つの準決勝はクロアチアが米国とホームで対戦し、最終戦までもつれ込む接戦を制したのはクロアチアであった。(続く)

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