第2423回 最後の王座を逃したフランス(5) スペイン相手にシングルスで2勝

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■準決勝に臨むスペインとフランスのメンバー

 全米オープンの準決勝で途中棄権したラファエル・ナダルが直前に欠場となったスペイン、シングルスはパブロ・カレーニョ・ブスタとロベルト・バウティスタ・アグート、アルベルト・ラモス・ビノラス、ダブルスはフェリシアーノ・ロペス、マルセル・グラノイェルスをメンバーに入れた。
 一方のフランスはシングルスには前回の本連載で紹介した初選出のブノワ・ペール、ルカ・プイユ、リシャール・ガスケがシングル要員、ダブルスにはニコラ・マユとジュリアン・ベネトーを準備した。

■過去の戦績はスペインがリード、リールのハードコートを準備したフランス

 両国の対戦はこれが9回目となる。過去の対戦成績はフランスの2勝、スペイン6勝とフランスは大きく負け越している。ワールドグループ制になってからの対戦は3回、2010年の準々決勝でフランスが勝利したが、2004年と2011年準決勝ではいずれもスペインが勝利している。直近の2011年の準決勝はナダルがシングルスで2勝しているが、スペインのコルドバで行われており、今回の対戦はフランス国内で行われることになった。 フランス陣営が選んだ会場はリールのピエール・モーロワ競技場、本来はサッカー場であるこの競技場にこの日のためにクレーの王者であるナダルの出場を想定してハードコートを準備した。昨年の優勝を決めた11月のベルギーとの決勝も同じ競技場、同じサーフェスで行われており、それ以来10か月ぶりにテニスの試合が行われる。

■新人ブノワ・ペール、ストレート勝ちで初陣を飾る

 そしてベルギーとの決勝は最終の第5ラバーまでもつれ、プイユがスティーブ・ダルシスに勝利して栄冠を勝ち取ったが、この準決勝の第1ラバーは新人のペールである。ペールの相手はアルゼンチンのナンバーワン、カレーニョ・ブスタである。この時点の世界ランキングはペールが54位、カレーニョ・ブスタが21位であるが、ランキング以上に差があるのが経験値である。これが最初のデビスカップというペールに対し、カレーニョ・ブスタは5回目の選出で、これまでにシングルス4試合、ダブルス2試合に出場しており、戦績はシングルス、ダブルスともタイである。今年に入ってからは英国との1回戦のダブルスにロペスと組んで出場し、ストレート勝ちしている。
 経験に勝るカレーニョ・ブスタ相手に劣勢が予想されたペールであるが、第1セットは5-5となってから2ゲームを連取し、セットを奪い、これで勢いに乗る。第2セットは6-1、そして第3セットは6-0と相手を圧倒する。ペールはダブルフォールトも多かったが、サービスエースも多く、思い切ったサービスで観客を沸かせたペールは2時間に満たない短時間でデビスカップ初出場初勝利を記録したのである。

■エースのルカ・プイユ、フルセットの熱戦を制す

 続く第2ラバーにはフランスのエースのプイユが登場、現行のデビスカップの大会方式に特別な思いを持つプイユはスペインのナンバー2のバウティスタ・アグートとの対戦となる。ATPランキングはプイユが19位、バウティスタ・アグートは26位、両者ともこれが7回目のデビスカップチーム入りである。ペールのワンマンショーに続いてプイユが勝利するかと思われたが、やはりデビスカップ特有の試合となった。
 立ち上がりのプイユは不調で、バウティスタ・アグートが6-3と先取する。第2セットはタイブレークにもつれ込み、最後はプイユが奪って7-6、1セットオールに持ち込む。さらに第3セットもプイユが6-4と取って残り1セットとなる。しかし、第4セットはバウティスタ・アグートが6-2と取り、追いつく。試合はファイナルセットに突入したが、この第5セットをプイユが6-4と制して、3-2でプイユが勝利する。平日にもかかわらず集まった1万5000人のファンを喜ばせ、フランスは決勝進出まであと1勝となり、土曜日のダブルスを迎えることになったのである。(続く)

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