第2796回 接戦の続く6か国対抗(1) 実力が均衡する伝統5か国

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■38年ぶりにトゥイッケナムでイングランドを破ったスコットランド

 今年の6か国対抗については本連載第2778回と第2779回で第1節のイタリア戦でフランスが快勝したことを紹介した。2月6日と7日に行われた第1節ではこの他にイングランド-スコットランド、ウェールズ-アイルランドの2試合が行われた。
 驚きはスコットランドがイングランドをノートライに抑え、11-6で勝利したことであろう。世界最古の対戦である両者の対戦は、近年はイングランドが圧倒し、トゥイッケナムでは実に38年ぶりのスコットランドの勝利となった。

■ウェールズがアイルランドに逆転勝ち

 また、ウェールズとアイルランドの試合は前半はアウエーのアイルランドが13-6とリードして折り返したが、後半になってウェールズがジョージ・ノースらのトライで逆転、21-16と僅差で初戦を勝利で飾っている。
 第1節を終え、特に近年振るわなかったフランスとスコットランドが勝利したことから、イタリア以外の5チームに実力の差はかつてほど大きく離れていないことが認識された。

■ルイス・リース・ザミットの2トライでウェールズがスコットランドを下す

 その翌週に行われた第2節も力量の均衡を表す結果となった。まず、昨秋のオータムネーションズカップの優勝チームであるイングランドはイタリアを41-18と一蹴する。
 そして五強同士の対戦となった残りの2試合はいずれも僅差であった。まず2月13日に行われたスコットランド-ウェールズ戦はウェールズがペナルティゴールで3点を先制したが、スコットランドはフィン・ラッセルがペナルティゴールで追いつき、前半のうちに2トライ(いずれもゴール成功)をあげて、逆転、1週間前のイングランド撃破がフロックではないことを証明する。しかし、ウェールズも反撃、38分にオータムネーションズカップで初キャップを得て、第1節のアイルランド戦でもトライを挙げたルイス・リース・ザミットがトライして、5点を返す。前半はスコットランドが17-8でリードして折り返す。
 後半に入ってウェールズは51分にトライ、ゴールも成功して2点差に迫る。そして54分、スコットランドのプロップのザンガー・ファーガソンが危険なタックルで退場となる。ウェールズはこの反則で得たペナルティキックはタッチに蹴り前進、そのままラインアウトからプロップのウィン・ジョーンズがトライを決めて、20-17とついに逆転する。相手の反則による退場の直後に逆転トライ、フランスのファンにとっては2年前のワールドカップの準々決勝を見ているようであった。しかし、1人少なくなったスコットランドは65分にスクラムから出たボールをラッセル、スチュアート・ホッグとつなぎ、ホッグが2人を交わしてトライし、ラッセルのゴールも決まり、24-20と逆転に成功する。しかし、ウェールズは期待の若手のリース・ザミットがこの日2本目のトライを69分に決めて25-24と逆転する。試合は1点差で残り10分、追うスコットランドがボールを保持して攻め続けるが、78分に痛恨のインターセプト、これで勝利を逃がし、第1節に勝利したチーム同士の戦いはウェールズに軍配が上がった。

■ジョナサン・セクストン抜きでフランスと対戦するアイルランド

 さて、2月14日にフランスはアイルランドとダブリンで対戦する。第1節でイタリアと対戦したフランスにとってはこのアイルランド戦が開幕戦であると言っても過言ではない。
 また、ウェールズに初戦で惜敗したアイルランドはこのフランス戦では勝利を得たいところであるが、アイルランドのメンバーには驚きがある。それは司令塔のジョナサン・セクストンがメンバーから外れていることである。前週のウェールズ戦の後半に負傷して交代している。セクストンがフランス戦に出場しないのは2013年以来のことである。ちなみにこの時は13-13と引き分けている。さらにアイルランドはセンターのコナー・マレーもメンバーから外れている。バックス陣の精神的な支柱となる2人を欠く布陣でフランスを迎え撃つのである。(続く)

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