第2926回 12年ぶりにオールブラックスを破る(5) ロマン・エンタマックをスタンドオフで起用

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスの先発メンバー

 2023年ラグビーワールドカップの開幕戦の相手となるニュージーランドとのスタッド・ド・フランスでの試合、フランスは秋のテストマッチ最終戦を飾りたい。ラグビーワールドカップのメイン会場で未勝利のままに本大会を迎えることは開催国としては避けたい。しかし、前回の本連載で紹介した通り、ニュージーランド代表、オールブラックスは高く厚い壁である。現在14連敗中であることは前回の本連載で紹介したところであるが、最新の対戦は3年前、ダニーデンで14-49と大敗し、5年ぶりのニュージーランド遠征はまたも3連敗となったのである。
 4年ぶりとなったスタッド・ド・フランスでの試合、フランスの先発メンバーは次のとおりである。FW第一列はシリーユ・バイユ、ペアト・モーバカ、ウイニ・アトニオ、第二列はカメロン・ボキとポール・ウィレムス、フランカーはフランソワ・クロとアントニー・ジェロンチ、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはロマン・エンタマック、スリークォータバックは左からガバン・ビリエ、ジョナタン・ダンティ、ガエル・フィクー、ダミアン・プヌー、フルバックはメリバン・ジャミネというメンバーである。

■スタンドオフにロマン・エンタマックを起用

 なんと言っても驚きはこれまでの2試合でセンターを務めていたエンタマックをスタンドオフに起用したことであろう。エンタマックは今年に入ってから6か国対抗は負傷のため、最終戦のスコットランド戦に出場しただけで、夏の豪州遠征にも帯同していない。そのエンタマックが秋になってファビアン・ガルチエ監督から指名されたポストはセンターであり、スタンドオフは6か国対抗で代役を務めたジャリベールが務め、ジャリベールとエンタマックのコンビが攻撃にアクセントをつけるのではないかと期待された。アルゼンチン戦は勝利したものの、この2人がコンビネーションを組んで活躍するシーンはなく、またプレースキッカーとしてジャミネが2人のお株を奪う活躍を見せた。ガルチエ監督の選手起用に疑問符をつける声も少なくなかったが、ジョージア戦でもアルゼンチン戦と同様に2人を起用する。ジョージア戦は点差をつけて勝利したが、この大量得点はモールからのものであり、タレントあふれる2人の司令塔からのものではなかった。
 そしてこのニュージーランド戦、ガルチエ監督はエンタマックをスタンドオフに起用、そしてセンターにはサイズのあるダンティを入れて3試合連続先発となるフィクーと組ませたのである。

■経験の浅い選手の多いフランス

 またフルバックはジャミネが3試合連続出場、豪州遠征から通算すると6試合連続の出場となる。フランスは代表歴が一桁の選手はジャミネ以外にキャップ数8のモーバカと7のビリエである。また、最多キャップはフィクーの65、平均は21である。キャップ数が40を超えるのはフィクーだけであるが、このメンバーが熟成すれば2年後には平均キャップ数は40前後となる。

■キャリア十分のメンバーのそろったニュージーランド

 一方のニュージーランドは平均キャップ数がすでに50を超えるメンバーがそろった。FW第一列はジョー・ムーディ、デイン・コールズ、ネポ・ラウララ、ロック陣はブロディ・レタリックとサム・ホワイトロック、フランカーはアキラ・イオアネとサム・ケイン、ナンバーエイトはアーディー・サベア、スクラムハーフはアーロン・スミス、スタンドオフはリッチー・モウンガ、スリークォーターバックスは左からジョージ・ブリッジ、クイン・トゥパエア、リーコ・イオアネ、ウィル・ジョーダン、フルバックはジョーディー・バレットという布陣である。
 この中でレタリック、ホワイトロックは日本のトップリーグで活躍したことから日本の皆様もよくご存じであろう。アキラ・イオアネとリーコ・イオアネの父はかつて名門リコーで活躍しており、彼らのファーストネームは日本に由来がある。
 キャリア十分のオールブラックス相手にフランスは驚きの試合を見せたのである。(続く)

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