第2927回 12年ぶりにオールブラックスを破る(6) 前半先行するも、追い上げられたフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■11月20日のメインイベントとなったフランス-ニュージーランド戦

 11月20日は欧州各国でテストマッチが行われた。日本の皆様が注目のスコットランド-日本戦は14時キックオフ、日本で行われたラグビーワールドカップの決勝の再戦となるイングランド-南アフリカ戦は16時15分キックオフ、そしてそれらのカードを差し置いてメインイベントとして21時にキックオフするのがフランス-ニュージーランド戦である。会場のスタッド・ド・フランスはほぼ満員の79,041人の観衆が集まった。
 フランスは上から下まで青いユニフォームで背中に赤と白のライン、そしてニュージーランドは白いユニフォームを着用してこの一戦に臨んだ。

■ジョージア戦に続いてモールで押し込んでペアト・モーバカがトライ

 キックオフ前には恒例のハカ、先発15人中9人がオールブラックスとは初対戦という若いフランスは決して臆することはなかった。フランスのキックオフで始まった試合、ニュージーランドのキックをメリバン・ジャミネが処理をミスし、いったんはピンチとなりかけたが、フランスでこの日主将を務めたアントワン・デュポンがロマン・エンタマックと2人でゲイン、ニュージーランドはフルバックのジョーディー・バレットがゴール前のタッチに逃げる。ゴール前マイボールのラインアウト、フランスは前週のジョージア戦でトライを量産した。果たして同じ戦法がオールブラックス相手に通用するかと、ファンは注目した。ペアト・モーバカが投げ入れ、フランソワ・ボキがクリーンキャッチ、ここでモールを形成し、そのまま押し込んでモーバカがトライを決めた。フッカーというトライに縁のないポジションでありながらモーバカはこの秋の3試合すべてでトライをあげた。左隅からのコンバージョンもジャミネが決めて7-0とフランスは幸先の良いスタートを切った。

■ロマン・エンタマック、個人技で久しぶりのトライ

 その直後にフランスはガバン・ビリエールが反則を取られ、前週のアイルランド戦で負傷した兄のボーデンに代わってキッカーとなったバレットが決めて、ニュージーランドも3点を返す。さらにバレットは10分にもペナルティゴールを決めて、ニュージーランドは1点差とする。
 これまでのフランスであれば、反則を重ねて失点していくパターンであったが、この日は攻撃的に試合を進めた。12分にはダミアン・プノーがチャンスを作り、デュポンからエンタマックにパスが渡る。エンタマックはフェイントでオールブラックスの防御線を破り、ゴールラインを超えてトライをあげた。ようやくエンタマックが3試合目にして覚醒した。エンタマックのトライは昨年の6か国対抗以来のことである。ゴールもジャミネが難なく決めて14-6とする。26分にはマイボールのラインアウトをこの日初めて奪われたかと思われたが、ニュージーランドに反則、これをジャミネが決めて17-6とリードを広げる。そして迎えた32分、フランスはニュージーランドゴール前まで攻め込み、ここもまたモールで前進する。最後のトライはモーバカ、前週のジョージア戦に続いて1試合2トライを決めた。前半のオールブラックスはノートライに終わり、フランスが24-6と大量リードで折り返した。

■後半に入って追い上げを見せるニュージーランド

 このままで終われないニュージーランドは後半に入って巻き返してくる。46分、ニュージーランドは今季からの試行ルール、50-22でチャンスをつかむ。ニュージーランドはゴール前に攻め込み、最後はバレットが左隅にトライをあげる。ゴールを外してしまうが、次のトライもオールブラックスであった。両チームが選手交代を重ねた直後の51分、デュポンがボールを失い、アーロン・スミスが奪ったボールをすぐにリーコ・イオアネにパス。リーコ・イオアネはスピードに乗ってゴールポスト真下にトライ、ゴールも決まって24-18とニュージーランドが追い上げる。フランスは55分にペナルティゴールを決めて点差を広げるが、オールブラックスは59分にアーディー・サベアがトライ、ゴールも決まって27-25と2点差に詰め寄ったのである。(続く)

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