第2969回 グランドスラムを目指すフランス (5) トライ数で下回るもアイルランドに競り勝つ

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■ウェールズ戦のマンオブザマッチとなったマック・ハンセン

 チームの精神的支柱であるジョナサン・セクストンがメンバーから外れたアイルランド、代役のジョーイ・カーベリーも注目選手であるが、最も注目を集める選手はウイングのマック・ハンセンであろう。豪州のキャンベラ生まれ、スーパーラグビーのブランビーズに所属していたことから日本の皆様はよくご存じの選手であろう。20歳以下の豪州代表にも選出されたが、母親がアイルランドのコークで生まれたことからファミリー枠でアイルランド代表の資格を持ち、昨年アイルランドのコナートに移籍した。そして、今年の6か国対抗のメンバーに入り、開幕戦のウェールズ戦で代表にデビューしたのである。9連勝中のチームの先発メンバーに入り込むことは難しいことであるが、ハンセンはその起用に応えた。左ウイングとして出場したハンセンはトライこそ記録はしていないが、大活躍し、マンオブザマッチに選出されたのである。

■序盤にトライを奪い合った両チーム

 そのハンセンはこのフランス戦にも背番号11をつけて先発する。78,115人の観客の前でロマン・エンタマックのキックオフで始まった試合、序盤に両チームが相手の守備のすきをついてトライを取り合う。先制したのはフランス、2分にヨラム・モエファナ、ウイニ・アトニオとつなぎ、エンタマックからのオフロードパスを受けたアントワン・デュポンがインゴールに走りこんでトライを決めた。メリバン・ジャミネのコンバートも決まり、7-0とフランスがリードする。7分にもフランスはペナルティゴールで3点追加する。
 アイルランドは失点後のカーベリーのキックオフをハンセンがキャッチ、そのままインゴールまで駆け抜ける。このレベルの試合では極めて珍しいプレーであるが、代表2試合目で初トライを決めたハンセンはラッキーボーイと言えるであろう。カーベリーのゴールも成功、アイルランドはこの試合初めての攻撃で7点を返す。

■メリバン・ジャミネのキックが次々に成功

 序盤にトライをあげた両チームであるが、その後は両チームともトライを奪えるような展開にはならない。こういう試合の中でフランスは手堅くペナルティゴールで得点を重ねていく。22分には22メートルライン内から、36分にはゴール前15メートルからという近距離からジャミネがキックを成功させる。さらに39分にはフランスはスクラムでアイルランドの反則を誘う。ゴールポストまでは40メートル、しかし残り時間もないことからショットの選択、これをジャミネが決めて、フランスは19-7とリードを広げてハーフタイムを迎えた。

■2トライをあげて猛追したアイルランドを退けたフランス

 後半の立ち上がりにもアイルランドはオフサイドの反則、ジャミネはほぼ中央から30メートルの距離のペナルティゴールを決めてリードを15点差とする。両チーム相手のディフェンスを完全に崩すことができず、15点差が付いたところでフランスの勝利かと思われたが、さすがはアイルランドである。44分にアイルランドはフランスゴール前5メートルのラインアウト、ここでモールを形成し、モールの中から割り込んだジョシュ・ファンデルフリアーがトライ、フランスのお株を奪うプレーでの反撃、カーベリーもゴールを決め、8点差とする。さらに50分にはスクラムハーフのジェイミソン・ギブソン・パークがフランス守備陣の間をついてトライをあげ、ゴールも決まって21-22と1点差に迫る。
 55分にフランスはシリーユ・バイユがトライをあげる。しかし、ジャミネがこの日7回目にして初めてキックを失敗し、27―21とリードは6点差となる。残り25分、ここから両チームとも少しでも得点を重ねたいところであるが、逆に反則のない試合を両チームは心がけ、スコアが動かない。72分にフランスは攻め込まれ、自陣の密集の中で反則、アイルランドはペナルティゴール成功で3点差に迫る。フランスは77分過ぎにアイルランドのゴールライン上に攻め込む。トライかどうかTMOの結果、ノートライとなったが、フランスはペナルティを得る。
 ジャミネはこの試合7本目のキックを成功させ、2トライのフランスは3トライのアイルランドに対し30-24と勝利し、グランドスラムに前進する。一方、トライ数でフランスを上回ったアイルランドは敗れたのである。(続く)

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