第2977回 グランドスラムに王手(2) ウェールズをノートライに押さえ、最終戦へ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ほぼ不動のメンバーで臨むウェールズ戦

 近年のフランスとウェールズの対戦は接戦が続く。ウェールズのカーディフのプリンシパリティ競技場に並んだフランスの先発フィフティーンは先発メンバーはFW第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、ウイニ・アトニオ、第二列はカメロン・ボキとポール・ウィレムス、フランカーはフランソワ・クロとアントニー・ジェロンチ、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはロマン・エンタマック、スリークォータバックは左からガバン・ビリエール、ジョナタン・ダンティ、ガエル・フィクー、ヨラム・モエファナ、フルバックはメリバン・ジャミネというメンバー、ほぼ不動と言ってよいであろう。
 一方のウェールズは平均年齢が29歳という熟成したメンバーでフランスを迎え撃つ。

■先制トライはフランスのアントニー・ジェロンチ

 エンタマックのキックオフで始まった試合、序盤からスコアが動く。3分にはウェールズが自陣のラックで反則、ジャミネが40メートル近いペナルティゴールを決めて3点先制する。これに対してウェールズもフランスのキック処理の際の反則で得たペナルティゴールをダン・ビガーが決めて5分に3-3と追いつく。
 トライが生まれたのは8分、両チームのキックの応酬が続き、ジャミネが蹴らずにランで前進し、左サイドのビリエールにパス、ビリエールも走ってゲインし、ウェールズ陣内に攻め込む。そこからフランスはパスをつなぎ、最後にゴールラインを超えたのはジェロンチであった。ジェロンチの左中間へのトライ、ジャミネのコンバートも決まり、フランスが10-3とリードする。

■ダン・ビガーのペナルティゴールで追い上げるウェールズ

 トライを取る力はないウェールズはビガーのキックが頼りである。ウェールズは守勢であったが、16分にビガーのペナルティゴールで3点を返した。前半の終了間際の37分過ぎからはウェールズはフランスのゴールライン前に攻め込む。フランスはほぼゴールポストほぼ真下で反則を犯す。ウェールズはショットを選択、ビガーが難なく決めて、9-10と1点差で前半を終える。
 こうなってくると両チームともトライではなくペナルティゴールやドロップゴールでよいから得点が欲しい。後半に入ってからウェールズ陣内に攻め込んだフランスは46分にウェールズ陣22メートル付近でオフサイドの反則でペナルティキックを得る。迷わずにショットを選択し、ジャミネが決めて13-9とする。点差は4点、ウェールズはトライをあげれば逆転、ペナルティゴールでも1点差となり、その後は両チームとも失点を恐れて自陣での反則を慎む。また相手の22メートル陣内に入ることも少なくなり、中盤での戦いが続く。

■ロマン・エンタマックのインターセプトでピンチを脱し、ウェールズに勝利

 そういう試合展開で残り時間も少なくなった72分、ウェールズはフランスのキックのオフサイドで反則を得る。トライでの逆転を狙うウェールズは得た反則で、前方でのスクラムを選択、フランスの22メートル陣内でのマイボールスクラムというチャンスが巡ってきた。フランスはスクラムハーフをデュポンからさらに若いマキシム・ルクに交代したところでピンチを迎えた。スクラムから出たボールをウェールズが展開しようとしたところ、エンタマックがビガーのパスをインターセプト、ビッグプレーでフランスはピンチを逃れた。
 フランスは78分に40メートルの位置からペナルティゴールを狙って逃げ切りを図るが、ジャミネがこの日初めてキックを失敗する。しかし、このまま終了する。フランスは前節のスコットランド戦同様に1トライしかあげることができなかったが、FW陣の献身的なディフェンスで13-9という僅差で勝利をあげる。4連勝したフランスは、12年ぶりのグランドスラムへ最終戦を残すのみとなったのである。(この項、終わり)

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