第3140回 ハンドボール世界選手権 (1) 優勝候補フランス、開幕戦で開催国ポーランドに競り勝つ

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■サッカーワールドカップ後、最初の団体球技の世界大会

 サッカーのワールドカップ後の最初の団体球技の世界大会としてハンドボールの世界選手権が1月11日からポーランドとスウェーデンで開催されている。11月から12月にかけて行われたサッカーのワールドカップでの興奮ふたたび、カタールでの敗戦の雪辱、と考えているスポーツファンは少なくないであろう。
 日本については昨年1月の欧州遠征中に多数の選手が新型コロナウイルスの陽性者となったため、世界選手権の予選を兼ねるアジア選手権を棄権せざるを得ず、世界の舞台に立てなかったことは痛恨の極みであろう。日本は前回大会まで3大会連続出場しており、この世界選手権で優勝すれば来年のパリオリンピックへの出場権も獲得できただけに、残念に感じていらっしゃるであろう。

■東京オリンピックで金メダルも世界選手権では2大会連続して準決勝で敗れたフランス

 一方、サッカーではアルゼンチンと死闘の末に準優勝に終わったフランスにとっては世界一のチャンスである。直近の世界大会である2021年の東京オリンピックでは優勝している。オリンピックでは2008年北京大会、2012年ロンドン大会でも優勝しており、優勝を逃した2016年リオデジャネイロ大会も準決勝という圧倒的な力を誇る。28回を迎える世界選手権でも1995年アイスランド大会以降6回の優勝を誇るが、2019年ドイツ・ノルウェー大会は3位、2021年エジプト大会は4位と2大会連続して決勝進出を逃している。今大会は、昨年1月に行われた欧州選手権で4位となったことから出場権を獲得しているが、ファンが望んでいるのは3大会ぶりの優勝である。
 現在の男子ハンドボール界の勢力地図であるが、フランス、デンマーク、スウェーデンの三強時代である。過去2大会、フランスは優勝を逃しているが、いずれも優勝したのはデンマークである。また、前回大会優勝で開催国となるのがスウェーデンである。この三強を追ってスペイン、ノルウェー、アイスランドという欧州勢が続き、完全に欧州勢が世界を席巻しているのが男子ハンドボールなのである。

■ポーランド、サウジアラビア、スロベニアと対戦する一次リーグ

 サッカーのワールドカップと同数の32チームが出場、4チームずつ8つのグループに分かれて一次リーグを戦うが、第1シード8チームのうちエジプト以外の7チームは欧州勢である。フランスは第1シードとしてグループBに入り、第2シードのポーランド、第3シードのサウジアラビア、第4シードのスロベニアと対戦する。一次リーグで上位3位までに入ると二次リーグに進出する。

■主要大会の初戦で15連勝したフランス

 フランスの所属するグループBはポーランドのカトビツェで行われる。初戦の相手は開催国のポーランドである。上位3か国までに入れば二次リーグ進出となるが、別途説明するように一次リーグの成績は二次リーグに持ち越されるため、勝利をあげておきたい。サッカー同様、選手の所属チームはフランス国内に限らないが、フランス代表メンバー18人のうち、7人が国外のクラブに所属している。その中で特筆すべきは3人がポーランドのキェルツェに所属している。ポーランドを代表するクラブであり、今回のポーランド代表にも3人を送り込んでいる。サッカーのチャンピオンズリーグに相当するEHFチャンピオンズリーグでも2016年に優勝しており、その時に準決勝で敗れたのがパリサンジェルマンであり、今回のフランス代表には4人のパリサンジェルマンの選手がいる。
 フランスは36歳のGKのバンサン・ジェラールと38歳の主将のニコラ・カラバティック以外は若いメンバーで臨む。ほぼ1万人の観客の集まった試合は一進一退の攻防となった。前半を終えた時点で14-13とフランスが1点リード、後半も接戦となるが、結局、フランスが26-24と競り勝った。これでフランスは1993年の世界選手権の開幕戦でスイスに負けたのを最後に主要大会の開幕戦で15連勝、優勝に向けて第一歩を踏み出したのである。(続く)

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