第3144回 2023年6か国対抗開幕 (1) ワールドカップでも対戦する進境著しいイタリア

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■2月4日に開幕したワールドカップイヤーの6か国対抗

 サッカー、ハンドボールと準優勝に終わったフランス、ファンの期待は9月から始まるラグビーワールドカップである。ラグビーワールドカップを控えた6か国対抗が2月4日に開幕した。
 今年の6か国対抗は2月4日にウェールズ-アイルランド戦で開幕、同日にイングランド-スコットランドが行われ、フランスは2日目の5日にローマでイタリアと対戦する。ワールドカップイヤーを前にした昨年暮れ、ウェールズとイングランドで監督が交代している。
 ウェールズは2019年ラグビーワールドカップでチームを4位に導いたウォーレン・ガットランドをウェイン・ピバックに代えて復帰させた。ウェールズは秋のテストマッチで史上初めてジョージアに敗れ、監督交代のきっかけとなった。
 イングランドでは2019年ラグビーワールドカップで銀メダルを獲得したエディ・ジョーンズが退任した。イングランドは昨年の6か国対抗では3位にはなったものの、負け越し、そして夏と秋のテストマッチでも振るわず、スティーブ・ボーズウィック体制でワールドカップを目指す。名将ジョーンズに声がかからないはずはなく、ジョーンズは豪州代表監督に転じた。

■フランスが43勝3敗と大きく勝ち越しているイタリア

 このようにラグビーワールドカップを前にして監督を交代させざるを得ない状況にあるのと対照的なのがフランスである。フランスは昨年の大会では全勝優勝となるグランドスラムを達成、テストマッチでも13連勝という成績でワールドカップイヤーを迎える。2年連続でグランドスラムを達成すれば、現行の6か国対抗となってからはどの国も成し遂げていない偉業となる。
 2年連続グランドスラムを目指すフランスの初戦の相手は6か国対抗ではお荷物とまで言われてるイタリアである。これまでのフランスとイタリアの対戦成績はフランスが43勝3敗と大きく勝ち越している。6か国対抗では2011年と2013年のいずれもローマでの試合で敗れているだけである。

■アウエーでウェールズに勝利、サモアに大勝、豪州に初勝利した2022年のイタリア

 しかし、イタリアもこの1年はこれまでとは違う活躍を見せている。ラグビーワールドカップでは第1回大会から全ての大会に出場しているが、1度も決勝トーナメントに進出したことがない。また、2000年から参戦している6か国対抗では苦戦が続いたが、2015年から2022年にかけて36連敗を記録している。
 ところが、2022年の6か国対抗の最終戦のウェールズとのアウエーゲームでは22-21と競り勝ち、連敗をストップさせた。また、秋のテストマッチではサモアに49-17と大勝したのに続き、豪州に28-27と初勝利を記録している。昨夏以降で最も進境著しいチームと言ってもよいであろう。
 このチームを変身させたのが2021年の6か国対抗後に監督に就任したキーラン・クローリーである。クローリー監督は現役時代はニュージーランド代表として活躍、監督としてはカナダ代表を率いて訪日したこともあり、日本の皆様はよくご存じであろう。フランスのファビアン・ガルティエ監督とともに現在の6か国対抗の監督の中ではラグビーワールドカップに向けて調子をあげている指揮官と言えよう。

■ラグビーワールドカップの予選プール最終戦で対戦する両国

 フランスはこのイタリアとラグビーワールドカップでは同じ予選プールで対戦する。フランスとイタリアの所属するプールAはニュージーランド、ウルグアイ、ナミビアとともに決勝トーナメント進出を争う。上位2チームが勝ち進むが、力関係ではニュージーランド、フランスがリード、そしてイタリアが追う展開であり、決勝トーナメント進出の可能性があるのはこの3チームと言ってよいであろう。そしてニュージーランドとフランスは開幕戦で対戦し、フランスとイタリアは予選プールの最終戦で対戦する。
 すなわち、フランスが開幕戦でニュージーランドに敗れた場合、最終戦のイタリア戦は決勝トーナメント進出をかけた直接対決となる可能性が強い。そのためにも大会7か月前のこの機会にフランスはイタリアに圧勝しておきたい。ガルティエ監督は万全の態勢でこのローマでの試合に臨んだのである。(続く)

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