第3145回 2023年6か国対抗開幕 (2) イタリアから3トライを奪い、リードを広げたフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■代表にデビューしたTOP14でトライ数トップのエタン・デュモルティエ

 ワールドカップイヤーの6か国対抗、フランスの開幕戦はローマでのイタリア戦である。昨年急成長したチームを相手にフランスはベストの布陣で臨む。先発のFWは第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、ウイニ・アトニオ、ロック陣はチボー・フラマンとポール・ウィレムス、フランカーはアントニー・ジェロンチとシャルル・オリボン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリットというメンバーである。ハーフ団はアントワン・デュポンとロマン・エンタマック、スリークォーターバックスは左からエタン・デュモルティエ、ヨラム・モエファナ、ガエル・フィクー、ダミアン・プノー、フルバックはトマ・ラモスである。
 この中で代表デビューとなるのは左ウイングのデュモルティエである。ウイングでありながら192センチと長身であり、リヨンに所属している。浦安D-Rocksとリヨンが提携関係にあることから日本の皆様もよくご存じの選手であろう。リヨンではセンターで起用されることが多いが、現在8トライをあげ、フランスのTOP14でのトライ王争いのトップを走っている。また、オリボンが復帰したが、本連載第3135回で紹介した通りデュポンが主将を務める。スクラムハーフの控えにはマキシム・ルクとバティスト・クイユーの負傷により代表初招集の20歳のノラン・ルギャレックが入っている。

■イタリア国外で活躍するトンマーゾ・アラン、ステファン・バーニー、アンジェ・カプオッツォ

 一方のイタリアであるが、半数はベネトン・トレビーゾに所属しているが有力選手は国外のクラブで活躍する。スタンドオフはモンペリエに所属するパオロ・ガルビジが負傷したため、トンマーゾ・アランを起用する。アランとコンビを組むのは21歳のステファン・バーニーである。アランはハーレクインズ、バーニーはグロスターといずれもイングランドのクラブに所属している。そして注目は昨年の世界最優秀若手選手に輝いたフルバックのアンジェ・カプオッツォである。昨年の6か国対抗のスコットランド戦で途中出場ながら2トライ、そしてウェールズ戦では勝利に貢献した。昨夏にはグルノーブルから強豪トゥールーズに移籍、昨秋の豪州戦勝利の立役者である。
 フランスの先発メンバーのうちバイユ、マルシャン、フラマン、ジェロンチ、デュポン、エンタマック、ラモスの7人はトゥールーズの選手であり、彼らはカプオッツォの怖さを日ごろから感じているであろう。

■サイズと経験値に優るフランスが先制

 白いセカンドジャージを着用したイタリアのアランがキックオフ、上から下まで青のジャージをまとったフランスのオリボンがボールをキャッチして試合は始まった。サイズと経験値に優るフランスが試合開始から優位に立ち、5分にはフラマンがゴール下にトライを決め、ラモスのゴールも決まり、7-0とフランスが先制する。ただ、フランスはペナルティがこの試合でも多く、14分にアランにペナルティゴールを決められる。その直後にオリボンがゴールエリアにボールを持ち込むがTMOによってノックオンが認められ、ノートライ。

■両ウイングの高さを生かしたキックパスが左右に成功

 19分にはフランスがサイズを生かして、2本目のトライを奪う。エンタマックが右ウイングのプノーにキックパス、長身のプノーと競り合ったのは小柄なカプオッツォ、プノーが楽にボールをキャッチし、ラモスに渡してトライとなる。ゴールは失敗し、イタリアはペナルティゴールを決めて6-12と食らいつく。フランスの次のトライは左サイド、これもまたエンタマックのキックパスであった。代表デビュー戦のデュモルティエがパスを楽にキャッチし回り込んでトライ、ゴールも成功し、フランスは16-9と7点差をつける。
 試合時間のほぼ3分の1で3トライをあげたフランス、ボーナスポイント付きでの勝利をあげたいところであるが、ペナルティの多さが、この試合も課題となる。イタリアは昨秋の豪州戦はアランがキッカーを務めたが、失敗が多かった。しかし、この日は確実にキックを決めて、改善の兆しがある。そして豪州戦に勝利することができたのは2トライをあげたカプオッツォの存在が大きく、カプオッツォはこの日も活躍したのである。(続く)

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