第3146回 2023年6か国対抗開幕 (3) イタリアに辛勝し、初戦を飾る

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■アンジェ・カプオッツォの見事なトライ

 前半の30分を迎える前にフランスはイタリアから3トライを奪ったが、フランスは反則が多く、ペナルティゴールで失点を重ね、思うほどリードを広げることができない。そしてフランスが最も恐れていたパターンでイタリアはトライをあげる。31分、イタリアはフランスのゴール前に攻め込み、左サイドで自ボールのラインアウトのチャンスを得る。このラインアウトをイタリアはキープ、モールにして左右に揺さぶりつつ前進する。そしてモールやラックの真後ろでチャンスをうかがっていたフルバックのアンジェ・カプオッツォが狭い左サイドに走り込む。モールからのボールを供給されたカプオッツォは左隅に飛び込む。フランスのナンバーエイトのグレゴリー・アルドリットもタックルに入ったが、その下をくぐりぬけるようにしてトライを決めた。隅からのゴールは外れたが、イタリアは11-19と追い上げる。

■反則の多いフランス、5点差でハーフタイムを迎える

 サイズで劣るイタリアのフォワードであるが、モール、ラックでは負けていなかった。前半終了直前にはフランスのゴール前10メートルまで攻め込み、フランスの反則を誘う。フランスは主将のアントワン・デュポンが主審のマチュー・カーリー氏に呼ばれ、次に同じ反則を犯したらカードを出すと警告される。ゴール真正面の至近距離からトンマーゾ・アランがペナルティゴールを決め、フランスは19-14とわずか5点差のリードでハーフタイムを迎えたのである。
 前半の反則はイタリアの2に対してフランスは9、優位に試合を進めているにもかかわらず、反則の多さがリードを広げられない原因であり、ハーフタイムではファビアン・ガルティエ監督が指示を出すであろう。
 後半に入り、最初の得点チャンスはフランス、25メートルラインのところまで攻め込んだところでイタリアが反則、ここでフランスはトライを取りに行くのではなく、この試合で初めてショットを選択、ボーナスポイントとなる4トライ目よりもまずは点差を広げて勝利にこだわらざるを得なかった。トマ・ラモスが成功させて、8点差として、安全圏に入ったかと思ったがそうではなかった。

■ペナルティトライを許し、シャルル・オリボンが一時退出、ペナルティゴールで逆転される

 50分、フランスはシャルル・オリボンがハイタックルの反則、イタリアはタッチキックでフランスのゴール前からラインアウト、トライを狙う。ちょうどカプオッツォがトライをあげたのと同じ場所からのラインアウト、今度もラインアウトをイタリアはキャッチし、モールで前進する。カプオッツォはモールの後方に待機し、左右に揺さぶりをかけるが、フォワード陣はそのまま押し込む。この中でオリボンが倒れ込んでイタリアのモールを妨害、このプレーがなければイタリアがトライしていたということで、主審のカーリー氏はペナルティトライを宣告し、イエローカードを受けたオリボンは10分間の一時的退場となった。
 22-21となり、フランスのリードはわずか1点差、しかも1人少ない状況で10分間戦わなくてはならない。57分にフランスは40メートルの位置からラモスがペナルティゴールを狙うが、脇に外れてリードを広げられない。逆にフランスは60分に攻め込まれてオフサイドの反則、62分にアランがペナルティゴールを決めて、ついにイタリアが24-22と逆転に成功したのである。

■マチュー・ジャリベールのトライで逆転、逃げ切ったフランス

 ちょうどこのころから両チームともメンバーを入れ替える。スタンドオフのロマン・エンタマックも退き、マチュー・ジャリベールを投入。65分にフランスはゴール前での展開から途中出場のロマン・タオフィフェヌアが突進し、ジャリベールにつなぎ、左中間にトライをあげる。ラモスのゴールも決まり、29-22と逆転した。イタリアは73分にペナルティゴールを狙うが外れ、80分を過ぎたところでフランスのゴール前に攻め込んだものの、最後はボールを出すことができず、フランスが5点差で逃げ切った。フランスは6か国対抗の初戦に勝利し、国際試合14連勝を飾ったが、後半も反則は9、規律を保つことが15連勝に向けて必要であろう。(この項、終わり)

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