第3224回 ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2023(2) 日本とニュージーランドに連勝

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■プロ選手で固めたフランス

 新型コロナウイルスの感染拡大による中断の前に行われた2018年大会と2019年大会で優勝したフランス、3連覇を目指す。昨年はこの大会が行われなかったため、8か国でサマーシリーズという大会が行われたが、フランスは5位に終わっている。前回の本連載で紹介した通り、フランスは参加資格があり、今年初めの20歳以下の6か国対抗で活躍した エミリアン・ガイユトン、ルイ・ビール・ビアレイの2人がモナコで行われるフル代表に招集され、南アフリカには来ていない。このチームの主将を務めるのはモンペリエのフランカーを務めるレンニ・ヌーシである。メンバーのほとんどは1部リーグであるTOP14か2部リーグに相当するPro D2の選手である。

■学生チームの日本に大差をつけて勝利

 国土全部を利用して行われるワールドカップと異なり、この大会は南アフリカの西南部のアスロン、ステレンボッシュ、パールの3都市で行われ、フランスは予選プール3試合を異なる会場で戦う。
 第1戦の日本戦は6月24日にステレンボッシュで行われる。フル代表は昨年日本で2試合、フランスで1試合戦っており、あまり点差をつけることができなかった。しかし、この年代だとフランスはプロ選手ぞろいであるが、日本は大学生であり、さらに外国出身の選手も少なく、イングランドの大学生が1人加わっているだけである。
 試合は簡単に差がついてしまった。開始早々の3分にはボルドー・ベグルのセンターのニコラ・デポルテールが先制トライを決める。昨年のサマーシリーズで20歳以下の代表に入ったが、昨年暮れにはプロ契約をして、ワールドラグビーU20チャンピオンシップの開幕戦で先制トライを挙げるまでになった。その後もフランスはトライを重ねる。前半だけでフランスは6トライをあげ、すべてのコンバージョンも成功させる。対する日本は1トライにとどまり、42-7というスコアで折り返した。
 後半もフランスの勢いは止まらず、5トライの猛攻、前後半で11トライを記録する。フランスに2回のシンビンがあり、一時期は13人になったこともあったが、数的不利を感じさせない攻撃力を見せてトライを重ね、最終スコアは75-12と大差をつけ、ボーナスポイント付きでの勝利となった。

■グループ首位の座をかけて戦うニュージーランド戦

 第2戦は6月29日、パールでニュージーランドと対戦する。ニュージーランドは第1戦はウェールズ相手に27-26と僅差で逃げ切った。この大会は4チームずつ3つのプールに分かれて戦うが、各プールで首位となった3チームと、2位チームの中で最も成績の良い1チームが準決勝に進出する。すなわち、優勝を目指すためには予選プールで3戦全勝で通過したいところである。第1戦を勝利した両チームの対戦はプールAの首位争いとなった。ベビーブラックスというニックネームのニュージーランドは前回大会は6位と不振であったが、最多優勝回数を誇るラグビー王国である。チームの中心はクルセイダーズのハーフ団を組む主将のスクラムハーフのノア・ホザムとスタンドオフのタハ・ケマラである。

■ポソロ・トゥイランギが異次元のプレーでニュージーランドを一蹴

 前回の本連載でフランスは注目選手として紹介したポソロ・トゥイランギは第1戦にはビザの関係で入国が遅れ、出場できなかった。しかし、第2戦には間に合い、ロックとして出場した。
 ニュージーランドはフランス相手で白いセカンドジャージを着用した。雨中の試合となり、ニュージーランドの白いジャージーは泥だらけになる。そのようなコンディションであったが、フランスの攻撃力は衰えなかった。7分に先制トライ、19分にはトゥイランギがトライ、さらに1トライを加え、前半を21-0と折り返す。後半開始して間もない42分、トゥイランギが異次元のパワーとスピードでこの日2つ目のトライ、観衆を驚かせる。ニュージーランドもペナルティトライを含む2トライを返したが、フランスが35-14と勝利し、首位突破に大きく近づいたのである。(続く)

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