第3225回 ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2023(3) ウェールズに圧勝、準決勝進出

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■準決勝進出を狙うウェールズ

 ワールドラグビーU20チャンピオンシップで3連覇を目指すフランスは予選プールで日本とニュージーランドに連勝し、首位をキープして最終戦を迎える。7月4日に行われる最終戦の相手はウェールズである。ウェールズはニュージーランドに26-27と1点差で惜敗、日本には41-19と大勝している。ウェールズはフランスに大差で勝利すると首位の可能性もある。またもう1つの予選プール最終戦でニュージーランドが日本に勝利すれば2勝1敗となり、3チームが2勝1敗で並ぶことになる。

■選手としても出場経験のある主審の滑川剛人氏

 このフランス-ニュージーランド戦の主審は日本の滑川剛人氏である。かつてはトッププレーヤーとして活躍の経験もあるが、2009年に日本で開催されたこの大会(当時はIRBジュニア選手権)にも出場していたのである。この時の日本チームのスクラムハーフは先発が中部大学2年の横山隼大、後半から当時、帝京大学2年生だった滑川氏が出場するというパターンであった。横山は身長180センチ以上の大型スクラムハーフ、一方の滑川氏は164センチと小柄であり、インパクトプレーヤーとして機能した。この大会で日本は最終戦にウルグアイに勝利しただけで、出場16チーム中15位に終わったが、それから14年の歳月を経て、滑川氏はトップリーグのトヨタで活躍し、若くして審判に転じ、この大会に戻ってきたのである。

■数的不利になりながらもトライを重ねるフランス

 その滑川氏のホイッスルで試合は開始、フランスは5分にペナルティゴールで先制、9分にはトライをあげて、コンバージョンも成功して10-0と順調な立ち上がりであった。しかし、14分、フランスはフッカーのバルナブ・マッサがレッドカードで退場となる。フランスは残り1時間以上を14人で戦うことになったのである。しかし、フランスは数的不利を感じさせない試合運びで追加のトライを挙げる。一方の数的優位なウェールズは前半のロスタイムにようやく1トライ(ゴール成功)を返しただけで、フランスが24-7とリードして前半を折り返す。
 後半もフランスがトライをあげて、ウェールズが返すという展開が続き、残り5分となったところで38-19とダブルスコアでフランスがリードする。しかし、ここでフランスの選手にイエローカード、フランスは残り時間をウェールズよりも2人少ない人数で戦わざるを得なかった。しかし、この時間帯もトライを挙げたのはフランスであった。最終スコアはフランスが43-19と制した。数的不利な状況を跳ね返すことができたのはフランスの注目選手のポソロ・トゥイランギと2トライを挙げた主将のニコラ・デポルテールの活躍によるところが大きい。3連勝したフランスは文句なく、決勝トーナメントに進出したのである。

■準決勝ではイングランドと対戦

 他の予選プールの首位はプールBが2勝1分のアイルランド、プールCが2勝1敗の南アフリカであった。すなわち、フランスはこの大会の予選プールで唯一3連勝を飾り、得失点差は+108とこれも唯一100点を超えた。最後の準決勝進出はプールBの2位のイングランドとプールAの2位のニュージーランドが勝ち点10で並んだが、得失点差で上回るイングランドが優り、準決勝でフランスと対戦することになった。
 準決勝、決勝は3つの会場のうち、最も大きな収容人員を誇るアスロン競技場で行われる。また、順位を決定するために3位決定戦も同じアスロン競技場での開催となる。
 フランスとイングランドは今年3月に行われた20歳以下の6か国対抗では42-7とフランスが圧勝したが、イングランドはこの大会では2013年大会、2014年大会、2016年大会と3回優勝しており、ニュージーランドの6回に次ぐ優勝回数を誇る。予選プールではアイルランドと南アフリカに引き分け、無敗で準決勝を迎えるのである。(続く)

このページのTOPへ