第3234回 ラグビーワールドカップ前のスパーリングマッチ(1) 若いメンバーで臨む初戦のスコットランド戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■自国開催で初優勝を目指すフランスラグビー

 豪州とニュージーランドで行われている女子ワールドカップで、フランスはグループリーグで首位、決勝トーナメント進出を果たし、悲願の初優勝を目指す。女子ワールドカップの開催中に男子はリーグ戦が開幕するが、女子ワールドカップの次に控えているスポーツイベントがラグビーワールドカップである。16年ぶり2回目の自国開催とあって、国民は昨年から今年にかけて行われるサッカーの男女のワールドカップの勢いで初優勝を目指す。

■スパーリングマッチとなるサマーネーションズシリーズ

 本連載第3219回で42人のメンバーが7月初めからモナコで合宿に入ったことを紹介したが、いよいよ8月21日のメンバー発表を迎えることになった。欧州の参加国は7月末からサマーネーションズシリーズと銘打って強化試合を行う。ワールドカップ前のスパーリングマッチはいくつかのブロックに分けて行われる。まず欧州の6か国(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、フランス、イタリア)、南半球の4か国(ニュージーランド、豪州、南アフリカ、アルゼンチン)、パシフィック(日本、サモア、フィジー、トンガ)、欧州の中堅国(ジョージア、ルーマニア、スペイン、ポルトガル)、その他の出場国(カナダ、米国、ナミビア、チリ)というブロックの中の相手と戦い、終盤はブロックの外のチームとも対戦する。

■スコットランドと連戦するフランス

 フランスはスコットランドとアウエーとホームで連戦し、8月5日にエジンバラ、12日にサンテチエンヌで試合が行われる。19日にナントでフィジーと戦い、27日にスタッド・ド・フランスで豪州戦、4週連続でスパーリングマッチを行う。27日の豪州戦は出場国の中で最後の試合となる。そしてフィジー戦と豪州戦の間の16日に33人の登録メンバーが発表される。
 フランスはエジンバラで初戦を迎えるが、対戦相手のスコットランドは1週早くスパーリングマッチを開始し、7月29日にイタリアに25-13と勝利している。フランスとスコットランド、イングランドとウェールズはそれぞれホームアンドアウエーで試合を行う。フランスとスコットランドは直近の対戦は今春の6か国対抗、2月26日にスタッド・ド・フランスで行われた試合ではフランスが32-21と勝利した。このシーズンはアイルランドがグランドスラムを達成、この試合が結果的には2位決定戦となり、2位がフランス、3位がスコットランドとなった。7月時点の世界ランキングはフランスが3位、スコットランドが5位であり、9月8日のワールドカップの開幕戦で世界ランキング2位のニュージーランドと予選プールでいきなり対戦するフランスにとってはスパーリングマッチの相手にふさわしい。

■エジンバラのスコットランド戦に臨む若いメンバー

 8月5日、エジンバラのマレーフィールド競技場にファビアン・ガルティエ監督が送り込んだのは経験の浅い選手が多数であった。フランスの先発メンバーを紹介すると、FW第一列はジャン・バティスト・グロ、ピエール・ブルガリ、デンバ・バンバ、第二列はカメロン・ボキとバスチャン・シャルロー、フランカーはポール・ブーダンとセクー・マカルー、ナンバーエイトはヨアン・タンガというFW陣である。ハーフ団はスクラムハーフにバティスト・クイユー、スタンドオフはマチュー・ジャリベール、スリークォーターバックスは左からエタン・デュモルティエ、ヨラム・モエファナ、エミリアン・ガイユトン、ルイ・ビール・ビアレイ、フルバックはブリス・デュランというバックス陣である。
 ブーデン、ガイユトン、ビール・ビアレイの3人が代表デビューとなる。先発15人の平均年齢は24.9歳となり、30歳以上の選手はデュラン(33歳)とシャルロー(31歳)の2人だけである。デュランは15人のうち最多となる36試合の出場歴があり、主将を任せられた。15人合わせたキャップ数はわずか183という異例の若いチームがワールドカップに向けたスパーリングマッチの初戦に臨むのである。(続く)

このページのTOPへ