第3235回 ラグビーワールドカップ前のスパーリングマッチ(2) スコットランドに逆転負け

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■キャリア十分のベストメンバーで臨むスコットランド

 ワールドカップ直前のスパーリングマッチとなるサマーネーションズシリーズ、フランスは4試合を予定しているが、その初戦はエジンバラでのスコットランド戦である。前回の連載でフランスは代表デビュー3人を含み、若いメンバーで臨むことを紹介したが、対するスコットランドは正反対でベストメンバーといえるキャリア十分の選手をそろえた。初戦となるフランスに対し、スコットランドは前週にイタリアと試合をしているという違いもあるだろう。また翌週にはサンテチエンヌで再戦するので、まずフランスとの第1戦はベストメンバー、第2戦は若手中心と考えているのかもしれない。おなじみのメンバーがそろったが、スチュワート・ホッグが今年の6か国対抗終了後に引退を表明したため、主将はスタンドオフのフィン・ラッセルが務める。意外なことであるがラッセルは初めての主将である。

■フランスの若手が躍動した前半

 ホッグに代わってフルバックに入ったブレア・キングホーンのキックオフで試合は始まった。最初のプレーでフランスはいきなりノックオン、スコットランドボールのスクラムとなる。試合開始直後とあって、スクラムが安定せず、フランスはコラプシングの反則を取られる。ゴールに近いところからラッセルがペナルティゴールを決めてスコットランドが3-0と先制した。
 しかし、ここから試合は若いフランスのものになる。12分自陣からエミリアン・ガイユトン、ルイ・ビール・ビアレイ、マチュー・ジャリベールと若い選手が右サイドをパスをつないでロングゲイン、最後はバティスト・クイユーがトライを決め、逆転、今日のキッカーはジャリベール、ゴールを決めて7-3とする。24分にフランスはスコットランドの22メートル陣内でモールを形成、ここから左に展開し、スピードに勝るビール・ビアレイがトライを左隅近くに決める。ジャリベールも難しい角度のゴールを決め14-3とする。勢いに乗るフランスは前半40分を過ぎても攻め続け、スコットランドゴール前のラインアウトからモールとラックの連続攻撃、最後はカメロン・ボキが潜り込んでトライ、予想外の21-3というフランス大量リードのスコアでハーフタイムを迎えた。

■1人少ないスコットランドが攻撃し続け、ついに逆転

 ところが、後半になると様相が変わる。スコットランドが後半開始時から攻め、フランスの22メートル陣内に入って、アドバンテージを得て攻撃続行、ラッセルは右斜め前のインゴールに蹴りこむ。これをスコットランドのダーシー・グラハムがエタン・デュモルティエと競り、最終的には外から回り込んで手で押さえてトライを決める。難しいキックをラッセルが決める。
 反撃開始と思われたが、51分にスコットランドはザンダー・ファーガソンが危険なタックルでイエローカード、シンビンとなる。1人少なくなったスコットランドであるが、スコットランドは連続ラックでフランスをゴール前にくぎ付けにする。54分にはプロップのピエール・スクーマンがラックからトライ、ラッセルのゴールも決まり4点差に迫る。ところが、その直後、レビュー中だったザンダー・ファーガソンの判定がイエローカードからレッドカードに代わり、スコットランドは試合終了まで14人で戦わなくてはならなくなる。
 スコットランドは数的不利もものともせず、64分にはフランスのゴール前で連続してマイボールのラインアウト、後半から出場したデビッド・チェリーがゴールラインを超える。ついにスコットランドは逆転する。右サイドからのラッセルのゴールは失敗、22-21と1点差で試合は終盤を迎える。

■80分を過ぎてスコットランドゴール前に迫ったフランス、ペナルティで試合終了

 スコットランドが圧倒的にボールを支配、73分にはラッセルのペナルティゴールで4点差、フランスはトライをあげないと逆転できない。80分を過ぎたところでフランスはスコットランドのゴール前に迫り、連続攻撃を仕掛けるが、82分に痛恨のペナルティを犯す。若手メンバーで臨んだフランスは21-25で初戦を落としたのである。(この項、終わり)

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