第3252回 ラグビーワールドカップ開幕(4) 終盤に突き放したフランスが快勝

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■得意のスクラムで反則を奪い、リードしてハーフタイムを迎えたフランス

 19分にトマ・ラモスの2本目のペナルティゴールで逆転したフランスであるが、25分にはスコット・バレットの突進に対しオフサイドの反則を犯す。これをリッチー・モウンガ、が難なく決めて、ニュージーランドが8-6と逆転をする。27分にニュージーランドはスクラムで再びイーサン・デグルートがコラプシングの反則、フランスはニュージーランド出身の145キロの巨漢プロップのウイニ・アトニオの起用が成功する。フランスはラモスのペナルティゴールが決まって9-8と再び逆転する。33分にフランスはペナルティゴールのチャンスをつかむが、ラモスが緩やかに外し、追加点はならず、1点リードしてハーフタイムを迎えた。
 開幕戦という緊張感のある中で、開始早々に先制トライを許したものの、フランスは得意のスクラムで反則を奪い、シナリオ通りに最初の40分を終えた。

■新鋭マーク・テレア、ワールドカップで2本目のトライで逆転

 しかし、後半もトライをあげたのはニュージーランドであった。先制トライをあげたマーク・テレアがウィル・ジョーダンのキックをうまくキャッチしてそのまま左サイドを駆け抜け、トライする。モウンガのコンバートキックは不成功となるが2トライをあげたニュージーランドが13-9と逆転する。

■ダミアン・プノーのトライで逆転、メルバン・ジャミネも終了間際にトライ

 スクラムでは優位に立ち、ラモスというスーパーブーツのキックにより得点を重ねたフランスであるが、トライをあげることができない。50分前後になると両チームとも選手交代を重ね、次々とインパクトプレーヤーを投入してくる。その中で流れを変えたのは飛び道具だった。55分にフランスはラインアウトからマチュー・ジャリベールが横に走って、キック、これをダミアン・プノーが拾ってインゴール右隅に持ち込む。フランスにとって今大会初のトライとなった。難しい角度のコンバージョンキックも決まって16-13と試合の主導権はめまぐるしく変わったが、ここからフランスがリードを譲ることはなかった。57分にはニュージーランドはジョーダンがラモスに対するノーボールタックルで10分間のシンビン、数的有利な時間帯にフランスは2本のペナルティゴールのチャンスを得て、1本目はラモスが外したものの、2本目は決めて19-13とリードを広げた。73分には45メートルの位置でペナルティキックを得て、ゴールを狙う。今日はすでに14得点をあげているとはいえ、ゴールを2回外しているラモスであったが、この日もっとも難しいキックを成功させて、得点差を9点として安全圏に入る。
 試合時間が残り僅かになった時点でラモス、アントワン・デュポンに代えて、メルバン・ジャミネ、マキシム・ルクというクローザーを投入する。78分には交代してきたばかりの2人がトライを演出し、ルクのショートパントからジャミネがトライをあげる。さらに、ラモス以上のキックの精度を誇るジャミネは難しい角度のコンバージョンキックを成功させる。結局試合はフランスが27-13と勝利する。

■10回目の出場で初めて予選プールで黒星を喫したニュージーランド

 フランスにとってニュージーランド戦は2021年秋のテストマッチに続いて連勝、ワールドカップでは1999年大会準決勝、2007年大会準々決勝に続いて3回目の勝利となり、ワールドカップでの戦績は3勝5敗となった。
 そして今回が10回目となるワールドカップでニュージーランドはこれまで予選プールでは31戦全勝であったが、今回初めて予選プールで黒星を喫した。
 フランスの充実ぶりとニュージーランドがこれまでほどの絶対的力がないことについては戦前から認識されていたが、結果的には開催国フランスが予想外の大差をつけて開幕戦を制した。
 フランスはこの後、ウルグアイ、ナミビア、イタリアの順に対戦、ニュージーランドはナミビア、イタリア、ウルグアイの順に対戦する。両チームが再び対戦するならば、その可能性は10月28日の決勝である。再戦は実現するのであろうか。(この項、終わり)

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