第3264回 予選プールを首位突破したフランス(3) ナミビアに記録的大勝もアントワン・デュポンが骨折

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■すべてのプレーで圧倒したフランス、次ぐ次とトライ

 フランスは第2戦のウルグアイ戦ではボーナスポイントを取ることができず、第3戦のナミビア戦ではメンバーを入れ替えて臨んだ。ニュージーランド戦に出場したメンバーが中心となったナミビア戦、フランスは序盤からトライを重ね、21分には早くもボーナスポイント獲得となる4トライ目をあげ、26-0とリードする。
 フランスのスクラムの総重量はナミビアよりも80キロ重く、スクラムでもナミビアを圧倒し、ペナルティを連取する。フランスはペナルティゴールを狙うのではなく、タッチに蹴りだしてトライを取りに行く。26分のジョナタン・ダンティのトライはラインアウトでカメロン・ボキがキャッチし、スクラムハーフのアントワン・デュポンがダンティにパスしたものである。パスを受けたダンティは簡単にゴールラインを駆け抜けた。33分にはナミビアがゴール前での5メートルスクラム、スクラムから出たボールをキックでピンチから脱出しようとしたが、トマ・ラモスがキャッチし、カウンターアタックを仕掛ける。ゴール前でシャルル・オリボンにパスし、ゴールライン直前でオリボンはチボー・フラマンにつなぎ、フラマンがトライ、ラモスのゴールも決まり、フランスの得点は40点になる。

■アントワン・デュポンのキックパスで始まり、終わった前半は54得点

 36分もナミビアは自陣ゴール前からのマイボールのセットプレーで失点する。5メートルライン上でのラインアウト、危機を脱出するためにはロングスローで確実にキャッチしてタッチに蹴りだすというのが定石であるが、ナミビアのスローは長すぎてナミビアの選手がキャッチできず、フランスがボールを奪うシーンもあった。
 38分にはハーフウエイライン付近からダミアン・プノーがボールをもって駆け上がり、ナミビアの守備陣を置き去りにする。最後に右側のデュポンにつなぎ、主将がこの日最初のトライを決める。40分を過ぎてもフランスは攻め続けた。密集の中でナミビアの反則があり、これをデュポンが素早くタップキックでプレーを再開、そのまま前進し、左前方にキックパス、このキックに追いついたのがルイ・ビール・ビアレイ、左隅にトライを決める。難しい角度のゴールをラモスが決め、前半だけで54-0という大差がついた。デュポンの右サイドのプノーへのキックパスで始まり、左サイドのビール・ビアレイへのキックパスで終わった前半であったが、デュポンにはアクシデントにその後見舞われるのである。

■危険なタックルを受け、顔面を骨折したデュポン

 フランスは後半開始時に3人のFWの選手を入れ替える。45分、ナミビアはマチュー・ジャリベールからビール・ビアレイへのパスをディバン・ロッソウがインターセプトし、そのまま独走、ついに待望の初トライかと思われたが、主審は笛を吹く。その直前にヨハン・デイゼルがデュポンに対し危険なタックルがあったため、トライは取り消し、デイゼルにバンカーシステム付きのイエローカード、顔面を強く打ったデュポンは病院に直行、バティスト・クイユーにスクラムハーフのポジションを譲る。この反則で得たペナルティキック、フランスのタッチキックはナミビアのゴール前まで届き、ナミビアゴール前でのラインアウトとなる。ラインアウトからモールを形成し押しこんだフランスは交代して入ってきたクイユーがファーストタッチでトライを決める。

■フランスのテストマッチ史上最多得点、最多得点差となる96-0で勝利

 主将を失ったものの、フランスは攻め続け、54分にはプノーがハットトリックとなるトライ、代表での通算トライ数を33とし、代表通算トライ数首位のセルジュ・ブランコにあと5本、2位のバンサン・クレルクにあと1本と迫る。
 その後も攻めたフランスは、14トライ12ゴールで96-0で勝利する。テストマッチの対象ではなかった1979年のチュニジア戦(104-3)を除くとこれはフランス代表史上最多得点、最多得点差となった。
 しかし、病院に運ばれたデュポンは顔面を骨折しており、フランスはスタンドオフのロマン・エンタマックに続いてハーフ団を負傷で失ったのである。(続く)

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