第3269回 2大会連続で準々決勝敗退(3) またも1点差に泣いたフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■サッカーのフランス代表もそろって応援

 フランスは主将のアントワン・デュポンが復帰し、試合前には南アフリカの主将のシヤ・コリシとコイントスを行う。コイントスに勝ったデュポンはコートを選択、南アフリカのキックオフで試合は始まった。この試合を裁くのはニュージーランド人のベン・オキーフ氏、フランスはすでにウルグアイ戦でこの審判の笛の経験済みである。
 8万人の観衆だけではなく、多くのフランス人がテレビ観戦、その中には欧州選手権予選のために合宿中のサッカーのフランス代表も食堂でそろって応援する。

■FWがトライをあげるフランス、キックからトライを奪う南アフリカ

 マニー・リボックのキックをシャルル・オリボンがキャッチ、ヘッドキャップをかぶったデュポンがキック、最初のプレーを難なくこなす。フランスは開始早々から南アフリカのゴール前に攻め込み、右サイドのラインアウトからモールを形成して15メートルほど前進する。ダミアン・プノーが右サイドで待っていたシリーユ・バイユにパスし、バイユがタッチダウンしてフランスが先制、右隅の難しい角度のコンバートをトマ・ラモスが決めてフランスが7点を先行する。
 これに対して南アフリカも7分、ハーフウエイライン付近から、パント攻撃、コーバス・ライナーのキックはフランスがキャッチできず、ボールは南アフリカのカート・リー・アレンドセの走路に落ち、アレンドセが拾ってそのままトライ、リボックもラモスに負けじと難しい角度からのコンバージョンを成功させて同点に追いつく。
 13分にはファーストスクラム、一度目はうまく組めず、オキーフ主審は組み直しを命じる。スクラムからの攻撃も有効でないと見た南アフリカはキックに活路を見出そうとする。18分に南アフリカはフランス陣に入ったところからリボックがフタタビハイパント、これをカメロン・ボキが確保できず、南アフリカのセンターのダミアン・デアレンデがキャッチしてロングゲイン、ゴール前でタックルを受けてラックになったが、ラックから出たボールをデアレンデがインゴールに持ち込んで逆転する。
 22分には両チームに意表を突くプレーが出た。南アフリカがゴール前で反則を犯し、ペナルティを得たフランスは、デュポンが軽く蹴ってそのまま右外にパス、これをペアト・モーバカが右隅にトライをあげ、同点に追いつく。

■値千金の俊足チェスリン・コルビのチャージ

 そしてその後のコンバージョンキック、難しい角度でラモスが慎重にキックに臨む、ラモスが蹴った瞬間に飛び込んできたのが南アフリカ一の俊足チェスリン・コルビであった。コルビがチャージし、コンバージョン失敗、12-12のタイスコアとなる。
 このコルビのチャージが結局試合を決めることになる。コルビはその4分後も俊足を発揮する。自ボールのラックからボールを出そうとしていたデュポンにライナーがプレッシャーをかけ、南アフリカがボールを奪取、これを左オープンに回し、ジェシー・クリエルのゴロキックを拾ったコルビがフランスのバックスのタックルをかわしてトライ、ゴールも決まって19-12となる。
 試合はトライの奪い合いとなる。31分にフランスは南アフリカゴール前5メートルのラインアウト、モーバカが内にボールを持ち込み、連続ラックで攻め込み、最後はシリーユ・バイユがトライをあげ、ゴールも成功して19-19となる。前半終了間際には南アフリカのエベン・エツベスが危険なタックルでシンビン、ラモスがペナルティゴールを決めてフランスが22-19と3点リードして折り返した。

■途中出場のハンドレ・ポラードのキックに沈んだフランス

 後半の立ち上がりは1人多いフランスが押し気味に試合を進めるが、南アフリカは早めの選手交代、フレッシュな選手がフランスの攻撃を止める。後半スコアが動いたのは54分、ペナルティゴールでフランスが6点差とする。南アフリカは67分にフランスゴール前のラックからエツベスが持ち込んでトライ、交代出場のスタンドオフのハンドレ・ポラードのゴールで26-25と逆転する。その2分後、ポラードは52メートルのペナルティゴールを決めて4点差とする。
 フランスは72分にラモスが1点差に迫るペナルティゴールを決め、その後8分間、果敢に攻めたが、1点及ばなかった。フランスは前回大会同様1点差で準々決勝で敗れたのである。(この項、終わり)

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