第3319回 2024年6か国対抗開幕(1) アントワン・デュポン辞退で主将はグレゴリー・アルドリット

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州勢にとって散々な結果となった昨年のラグビーワールドカップ

 今年も6か国対抗の季節がやってきた。昨年9月から10月にかけて行われたラグビーワールドカップ、地元開催で優勝を目指したフランスは準々決勝で敗退、フランスとともに優勝候補の双璧と目されたアイルランドも準々決勝で敗れた。残る欧州勢も準決勝に進出したのはイングランドだけ、ウエールズも準々決勝敗退、スコットランドとイタリアは予選プールで姿を消している。欧州のシーズン中に欧州で開催された大会であったが、欧州勢にとっては歴代でも最悪の結果となった。
 結果こそ悪かったが、大会前の予想では南半球勢の評判は高くなく、優勝争いは欧州勢と日本を支持する声が強かった。また欧州勢も大会前半の予選プールでは好調でフランスはニュージーランド、アイルランドは南アフリカ、ウエールズは豪州、イングランドはアルゼンチンと欧州勢が南半球勢に勝利し、4プールとも首位は欧州勢であった。予選プールを終えた時点で決勝だけではなく準決勝も欧州勢で争われると思われた方も多かったであろう。

■リスタートとなる6か国対抗に向けた34人を発表

 そのように不本意な結果で終わったワールドカップから欧州の強豪が再スタートするのが今年の6か国対抗であり、地元開催での優勝を逃したフランスのメンバーについて紹介したい。
 ファビアン・ガルティエ監督はワールドカップ後も続投し、1月17日に34人のメンバーを発表した。
 左のプロップはシリーユ・バイユ、レダ・ワルディ、セバスチャン・タオフィフェヌア、右のプロップはウイニ・アトニオ、ドリアン・アルデゲリ、トマ・ラクレヤ、フッカーはジュリアン・マルシャン、ペアト・モーバカ、ガエタン・バルロ、ロックはエマニュエル・メアフー、カメロン・ボキ、ロマン・タオフィフェヌア、ポール・ガブリヤーグ、マティアス・アラガ、バックローはフランソワ・クロ、アントニー・ジェロンチ、シャルル・オリボン、グレゴリー・アルドリット、ポール・ブーダン、エスタバン・アバディ、ここまでがフォワードの20人である。
 スクラムハーフはマキシム・ルクー、ノーラン・ルギャレック、スタンドオフはマチュー・ジャリベール、アントワン・ジベールとなる。
 スリークォータバックスはセンターはジョナタン・ダンティ、ガエル・フィクー、ヨラム・モエファナ、ニコラ・デポルテール、ウイングはエミリアン・ガイユトン、ダミアン・プノー、ルイ・ビール・ビアレイ、マティス・ルベル、フルバックはメルバン・ジャミネ、トマ・ラモスとなり、バックスは14人である。

■パリ五輪の7人制ラグビーのため15人制の代表を辞退したアントワン・デュポン

 このリストを見て、昨年のワールドカップで主将として活躍したアントワン・デュポンの名前がないことに驚かれたであろう。傷心のワールドカップとなったデュポンは目標をパリ五輪の7人制ラグビーに切り替え、五輪チームに集中するために15人制の代表を辞退している。

■主将に任命されたグレゴリー・アルドリット

 デュポンのいない中の主将候補はバックローのオリボンとアルドリットの2人である。昨年のワールドカップではデュポンがナミビア戦で負傷し、予選プール最終戦のイタリア戦ではオリボンが主将を務めた。オリボンは2019年のワールドカップが終了した後、最初の試合となる2020年の6か国対抗で代表チームで初先発、そして主将を務めた。その後、負傷により長期離脱して主将をデュポンが務めることになったが、デュポンが不在だった2年前の日本遠征の際も主将を務めている。
 一方、デュポンが出場しなかったイタリア戦で活躍したのがアルドリットであった。イタリア戦は60-7というイタリア戦の最多得点差試合となる記録的大勝となった。このイタリア戦でアルドリットはプレイヤー・オブ・ザ・マッチに選出されている。アルドリットは所属するラロッシェルでも主将を務めており、オリボンかアルドリットかどちらを主将にするか、首脳陣は最後まで悩んだが、アルドリットに託したのである。(続く)

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