第3320回 2024年6か国対抗開幕(2) 6人の新人を選出

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■6人の新人のうち、ベンチ入りの経験のあるノーラン・ルギャレック

 フランス代表チームは毎年の6か国対抗、夏と秋のテストマッチを重ね、次のラグビーワールドカップを目指すことになる。今回の34人のメンバーのうち22人は昨年のラグビーワールドカップのメンバーであるが、3年後を見据えた6人の新人も加わっている。
 ロックのエマニュエル・メアフーとマティアス・アラガ、バックローのエスタバン・アバディ、スクラムハーフのノーラン・ルギャレック、スタンドオフのアントワン・ジベール、センターのニコラ・デポルテールである。
 このうちルギャレックは昨年の6か国対抗のイタリア戦ではマキシム・ルクーとバティスト・クイユーが負傷したため、リザーブメンバーに入った。現役グランゼコール学生のフランス代表入りということで注目を集めたが、デュポンがフル出場したため、代表キャップは獲得できなかった。

■サモア人の両親、ニュージーランド生まれ、豪州育ちのエマニュエル・メアフー

 ルギャレック以外の5人は初めての代表入りである。その中で最大の注目はメアフーであろう。身長2メートル3センチ、体重145キロという体格からフィジカルモンスターというニックネームを持つトゥールーズ所属の25歳の選手であるが、その経歴もこれまでのフランス代表では異色である。生まれたのはニュージーランドのオークランド郊外のオタフルで生まれた。この町は多民族が共存するエスニック地域であり、メアフーも両親はサモア人である。そして2歳の時に豪州に家族は移住する。5歳でラグビーを始め、19歳の時に豪州のクラブとプロ契約した。

■豪州代表に入らず、フランス国籍を取得したメアフー

 そして20歳になった2018年12月にトゥールーズと契約する。2019年12月にトゥールーズでTOP14の試合に初出場、しかし、その直後に新型コロナウイルスの感染拡大、このシーズンの出場はリーグ戦1試合、欧州チャンピオンズカップ1試合にとどまったが、その翌季からは選手層の厚いトゥールーズで出場回数も増やした。
 2022-23シーズンになるとメアフーはトゥールーズで背番号5の座を確保し、フランス代表のファビアン・ガルティエ監督も関心を持つ。ただし、メアフーはフランス在住が5年に満たず、フランス国籍も取得していないことから昨年の6か国対抗のメンバーにはならなかった。一方、メアフーが長年居住した豪州のエディー・ジョーンズ監督から豪州代表としてラグビーワールドカップに出場することを誘われたが、メアフーはフランスを選んだ。2023年11月にはフランス国籍を取得(フランスの場合、代表選手はフランス国籍を有することが条件である)、2023年12月にはフランス在住が5年となり、満を持してのフランス代表入りとなった。もし、昨年、メアフーが豪州代表入りしていたならば、ラグビーワールドカップの結果も異なり、ジョーンズ監督は豪州に残り、日本代表の監督になることもなかったかもしれない。

■フランス代表のバックスを支えるボルドー・ベグルのニコラ・デポルテール

 その他の4人であるがデポルテールはボルドー・ベグルに所属する21歳のセンターである。ボルドー・ベグルはテビタ・タタフという存在が大きすぎるが、スクラムハーフのマキシム・ルクー、スタンドオフのマチュー・ジャリベール、センターのヨラム・モエファナ、ウイングのダミアン・プノーとルイ・ビール・ビアレイが所属し、フランス代表のバックス陣を支えるチームである。
 マティアス・アラガとエスタバン・アバディはいずれもトゥーロンの選手、アラガは22歳、アバディは26歳である。アバディは昨季まではブリーブに所属し、トゥーロンに移籍した今季の活躍が認められて代表入りとなった。
 スタンドオフのアントワン・ジベールはセーブル出身で県内のラシン92に所属する。ラシン92ではスコットランドのフィン・ラッセル、フィジーのベン・ボラボラという世界的なスタンドオフのプレーを見て成長してきた26歳の選手である。ロマン・エンタマック不在のポストで存在感を見せたい。(続く)

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