第3587回 若きラグビーフランス代表、ニュージーランド遠征(1) 37人中18人がノンキャップの遠征メンバー

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■6月末に行われるTOP14の決勝戦

 今年はラグビーワールドカップの中間年、そろそろ次回の大会に向けてチームの完成度を高めていく段階にある。今年はブリティッシュライオンズを結成する年であるが、フランスは単独チームでニュージーランド遠征、オールブラックスと3試合行った。結果は3戦全敗であったが、様々な成果、課題を残した遠征となった。今回から若い代表チームのニュージーランドでの戦いについて紹介しよう。
 夏のテストマッチで問題となるのが選手の招集である。ラグビーはサッカーよりもシーズンが長く、フランス国内のリーグ戦に相当するTOP14はレギュラーシーズンは昨年9月に始まり、6月7日に終了するが、上位6チームはプレーオフがあり、6月13日に始まり、28日に決勝が行われる。また、最下位の14位のチームは2部に自動降格となるが、13位のチームは13日に入替戦がある。したがって、これらのチーム、特に28日の決勝に進出したチームに所属する選手は7月5日から始まるニュージーランドとのテストマッチとの両立は難しい。

■チャンピオンズカップ、チャレンジカップでも活躍するフランスのクラブ

 そして選手はTOP14だけを戦っているわけではない。1位から8位までのチームはサッカーのチャンピオンズリーグに相当するチャンピオンズカップ、9位から12位までのチームはヨーロッパリーグに相当するチャレンジカップに出場する。チャンピオンズカップではフランスから出場した8チームのうち6チームが決勝トーナメントに進出、5月24日に行われた決勝ではボルドー・べグルがパリサンジェルマンより1週間早く欧州チャンピオンになっている。チャレンジカップでも5月23日に行われた決勝にリヨンが進出、イングランドのバースに敗れている。このように国外でも多くの試合を戦い、ほとんどのチームは前回までの本連載で紹介したパリサンジェルマンのような過重労働である。さらに、原則としてフランスのクラブに所属している選手で構成されているフランス代表の試合も、秋に3試合、早春の6か国対抗で5試合が組まれている。
 シーズン中の選手の負荷はサッカーとは比較にならないほど大きく、6月の国外でのテストマッチはフレッシュな選手、すなわち出場経験の少ない選手も選出せざるを得ない。また合宿も各選手の所属チームの状況に合わせて招集期間を調整する必要がある。

■6月21日にイングランドXVに逆転勝ちしたフランスA

 このように毎回夏の南半球遠征はメンバー選出に苦心するが、6月21日には若手中心のメンバーでフランスAというチームを結成し、わずか3日間の準備期間、先発のうち5人がノンキャップというメンバーで、ブリティッシュライオンズのメンバー抜きのイングランドXVとトゥイッケナムで対戦する。シーソーゲームとなり、最終的には26-24と逆転勝ちを収めている。また、20日と21日に行われたTOP14の準決勝が行われ、決勝に残っているトゥールーズとボルドー・ベグルの選手はニュージーランド遠征のメンバーから外れ、準決勝で敗れたバイヨンヌとトゥーロンの選手は選考対象となる。

■37人のニュージーランド遠征メンバーを発表

 このイングランドXV戦のパフォーマンスとTOP14の準決勝の結果を受けて、ファビアン・ガルティエ監督は37人のメンバーを発表した。これまでのフランス代表と所属チームで主力として活躍してきた選手ははずれ、18人がこれまでに代表出場歴のない選手となった。
 ベテラン選手がいないわけではない。主将はセンターで93キャップのガエル・フィクー、それ以外にプロップのラバ・スリマニは2019年のワールドカップ以来6年ぶりの復帰となった。
 また、アントワン・デュポンとロマン・エンタマックが本来であればコンビを組むハーフ団はノーラン・ルギャレックとアントワン・ハストワが主力となる。 今年の6か国対抗を制したフランスであるが、ニュージーランドでは厳しい試合が続いたのである。(続く)

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