第3588回 若きラグビーフランス代表、ニュージーランド遠征(2) 初キャップ5人が名を連ねたフランス
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■14連敗のあと3連勝しているニュージーランド戦
シーズン中に2000分以上試合に出場した選手、TOP14の決勝戦を戦ったトゥールーズとボルドー・ベグルの選手を除いたメンバーで選出されたニュージーランド遠征メンバーは37人中18人がノンキャップとなった。今年の6か国対抗を制したばかりの欧州王者のフランスと南半球では現在、南アフリカに次ぐ位置にあるニュージーランドが3試合を行う。
フランスがニュージーランドを訪問するのは2018年以来7年ぶりのことである。2018年の遠征は本連載第2435回から第2437回で紹介したが、オークランドで11-52、ウェリントンで13-26、ダニーデンで14-49といずれも差をつけられて3連敗し、フランスはオールブラックス戦で14連敗となった。その後、フランスはニュージーランドに対して3連勝したが、7年前の遠征の最終戦を戦ったダニーデンで今回の遠征の第1戦が7月5日に行われる。
■5人が初キャップとなるフランス
試合の前々日に先発メンバーが発表されたが、これが物議をかもすことになった。まず白いジャージの先発メンバーを紹介すると、FW第一列は左から順にジョルジュ・ベリア、ガエタン・バルロ、ラバ・スリマニ、第二列はウーゴ・オラドゥとタイラー・デュギド、第三列はアレクサンドル・フィッシャーとキリアン・ティクセロンがフランカーでナンバーエイトはミカエル・ギヤールというメンバーである。ハーフ団はスクラムハーフはノーラン・ルギャレックとジョリス・スゴン、スリークォーターバックスは左からギャバン・ビリエール、ガエル・フィクー、エミリアン・ガイユトン、トム・スプリング、フルバックはテオ・アティソグベというメンバーである。
この中でFWではベリア、デュギド、フィッシャーの3人が初キャップ、BKもスゴン、スプリングの2人が代表デビューとなる。
■3年前に東京で初キャップを得たマックス・スプリングとその弟トム・スプリング
なお、日本の皆様は3年前にフランスが訪日した際に、第2テストの東京の試合でスプリングという選手が初キャップを獲得した記憶をお持ちかと思われるが、それはマックス・スプリングであり、トム・スプリングの兄である。スプリング兄弟はラグビーどころのピレネーの出身であるが、母親はバスクの血を引き、父親はニュージーランド出身のラグビー選手であった。兄マックスは東京での試合が現時点で唯一の代表出場試合であるが、父親の母国で初キャップを得た弟トムはどうなるであろうか。
一方、国際的なキャリアを積んでいる選手は主将のフィクー、6年ぶりに復帰したスリマニくらいである。若手選手としてルギャレック、ビリエール、ガイユトン、アティソグベなどはようやく代表メンバーに入ったというところであるが、先発の位置を獲得しているかと言えば、ルギャレックのスクラムハーフにはアントワン・デュポン、ウイングのビリエールにはルイ・ビール・ビアレイ、センターのガイユトンにはヨラム・モエファナ、フルバックのアティソグベにはトマ・ラモスという世界のべストフィフティーンに入ってもおかしくないメンバーが高い壁となっている。
今季の6か国対抗で優勝を決めた最終戦のスコットランド戦でも先発していたのはギヤールとフィクーだけである。
■世界的なスター選手が勢ぞろいしたオールブラックス
一方のニュージーランド、黒いジャージーをまとい、アーディ・サベア、スコット、ボーデン、ジョーディーのバレット三兄弟、ウィル・ジョーダン、セブ・リース、リーコ・イオアネなど世界のスター選手がそろった。
ニュージーランドサイドからは、今まで3連勝しているからとはいえ、フランスはテストマッチとして敬意を欠いているのではないかという声が上がった。キャプテンのスコット・バレットが指揮する試合前のハカは通常に増して鬼気迫るものであったのである。(続く)