第1052回 2010年ワールドカップ展望 (5) 準決勝予想はフランス-オランダ、アルゼンチン-スペイン

■高地対策で評価をあげた日本

 前回の本連載では決勝トーナメントを4つのブロックに分けた場合、フランスがグループAを首位で突破すれば、決勝トーナメントの1回戦と準々決勝を勝ち抜き、ベスト4も夢ではないが、逆に2位にとどまった場合は苦手アルゼンチンとの対戦が予想され、厳しい戦いになることを紹介した。
 今回はグループEからグループHまでの4グループ16チームから決勝トーナメントに進出した8チームの中でどのチームが準決勝に進出するかを占ってみたい。日本の所属するグループEが含まれていることから日本の皆さんには関心のあるテーマであろう。
 まず、オランダ、カメルーン、日本、デンマークからなるグループEの展望であるが、欧州予選を全勝で勝ち抜いたオランダがリードしていると目されてきた。しかしアジアカップ予選でイエメンに勝利した日本の評価が急上昇してきた。試合の行われたイエメンのサヌアは高度2000メートルの高地である。日本の高地対策が万全であることを示し、オランダの独走をストップするとなれば日本であろう。

■決勝トーナメント1回戦でイタリアを回避したいグループE勢

 各チームの自力だけではなく、グループ内の試合の順番、決勝トーナメントでの相手などの要素も考慮する必要がある。日程を確認すると、14日の昼にオランダ-デンマークと言う欧州勢同士の戦いで開幕する。今大会で初めての欧州勢対決となる。そして同日の夕方に日本-カメルーン戦がある。第2戦は19日、夕方にオランダ-日本戦、夜にカメルーン-デンマーク戦がある。日本もオランダもこの試合で勝利して決勝トーナメント進出を決めたいところである。そして第3戦は24日夜の同時刻にキックオフされ、デンマーク-日本戦とカメルーン-オランダ戦が行われる。さてここで注目はオランダや日本がすでに決勝トーナメント出場を決めている場合、どのように第3戦に臨むかである。
 決勝トーナメント1回戦であるがグループEを首位で通過した場合はグループFの2位と28日にダーバンで、2位で通過した場合はグループFの首位と29日にプレトリアで対戦する。グループFはイタリア、パラグアイ、ニュージーランド、スロバキアと言う顔ぶれである。グループFの最終戦は22日の夕方であり、グループEのチームは決勝トーナメント1回戦の相手を選ぶことができるのである。どのチームもイタリアとの対決を避けたいであろう。したがってグループEで八強以上を狙うチームは第1戦と第2戦で連勝して決勝トーナメント進出を手中にした上で、第3戦を迎えたいのである。
 グループEで八強以上を狙っているチームはオランダと日本であろう。日本としてはグループリーグを突破しても、決勝トーナメント1回戦で試合巧者のイタリアと対戦するならば、準決勝どころか準々決勝も難しい。したがって、グループリーグでオランダを倒し、決勝トーナメント1回戦でイタリアを回避することが準々決勝への道となる。

■グループG、Hで一歩抜き出るブラジルとスペイン

 大激戦と目されるのがグループGとグループHである。グループGはブラジル、コートジボワール、北朝鮮、ポルトガルと言う今大会唯一の激戦区であるが、ブラジルの力が一歩抜けているところは誰しもが認めるところである。
 そしてこの死のグループを勝ち抜くと、グループHから勝ち抜いたチームと対戦する。グループHはスペイン、スイス、ホンジュラス、チリというメンバーであり、これまで本大会では力を出せなかったスペインは2年前の欧州選手権でついに目覚めた。ブラジル、スペインのいずれも決勝トーナメントの初戦での対決を回避したいチームである。最終戦は25日に行われるが、グループGが夕方の試合、グループHが夜の試合である。欧州王者のスペインが対戦を選択できる分有利である。

■準決勝はフランス-オランダ、アルゼンチン-スペイン戦か

 このように考えるとグループEの首位チームの所属するブロックは準々決勝でオランダ-ブラジルと言う対決が見られそうである。そしてグループEで2位となったチームのブロックの準々決勝はイタリア-スペインという組み合わせになろう。
 前回の本連載ともあわせると、準決勝はフランス-オランダ、アルゼンチン-スペインという組み合わせになると予想するが、読者の皆様の予想はいかがだろうか。(この項、終わり)

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