第1277回 2014年ワールドカップ予選組み合わせ(1) 第1シードから外れたフランス

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■53か国が13の椅子を争う欧州地区予選

 今年はワールドカップ、欧州選手権の本大会のない奇数年であるが、シーズン開幕前のイベントとして例年のチャンピオンズトロフィーやリーグカップだけではなく、女子ワールドカップ、20歳以下ワールドカップ、そして2014年ワールドカップ予選の組み合わせの抽選会などがある。3年後にブラジルで行われるワールドカップ予選の組み合わせ抽選会について今回は紹介しよう。
 2014年大会予選には欧州からは53か国がエントリーし、13か国がブラジル行のチケットを手にすることができる。2010年大会は南アフリカ、2014年大会はブラジルと欧州以外で行われることから、開催国特典が欧州勢にはなく、2014年大会は2010年大会と同じ数の国がエントリーし、本大会への出場枠も同じである。そして予選の大会規定も同じであり、53か国を9グループに分け、1グループだけ例外的に5チームのグループとなるが、残りの8グループは6チームでホームアンドアウエーの総当たり戦で熱戦が繰り広げられる。そして、各グループで首位となった9チームは本戦出場、各グループで2位となったチームのうち上位8チームがプレーオフに出場し、勝ち抜いた4チームにもブラジル行のチケットが与えられる。なお、この2位チームの比較の際に、6チームで争われた8グループの2位チームは最下位チームとの対戦成績を除外して、5チームからなるグループの2位チームとの比較を可能にする。
 1990年代以降、欧州は政治的な動きが大きく、欧州からの本大会出場枠の増減のほかに、予選にエントリーする国の数が変動してきたが、2014年大会は2010年大会と同じ数の国が予選に参加し、欧州の政治も落ち着いてきたと言えるであろう。

■大幅に早まった抽選会の時期

 しかし、前回大会と比較して1点だけ大きな違いがある。それがこの抽選会の時期である。現在、欧州各国の代表チームは来年の欧州選手権目指して予選を戦っている。ワールドカップ予選が始まるのは来年の9月である。前回の2010年大会の予選の組み合わせ抽選会は本連載譜第790回で紹介した通り、2007年11月、すなわち、本大会の3年前の初冬に行われた。ところが、今大会は本大会の3年前の夏である2011年7月に行われ、4か月も日程が早まった。これは大陸別選手権であるアジアカップを今年初めに終えたアジアでは、予選が9月から始まるために抽選会を含めて日程が早まった。ワールドカップという舞台では欧州はすでに主役ではなく、アジアの時代なのである。
 この日程を早めたことがフランスをはじめとする欧州諸国に少なからぬ影響を与えたのである。

■昨年のワールドカップの惨敗でランキングを落としたフランス

 ワールドカップや欧州選手権の予選の組み合わせで常に問題となるのが、抽選前のシード分けである。2010年大会に引き続き2014年大会もFIFAランキングでシード順が決定される。フランスはこのランキングで1桁をキープしてきたが、昨年のワールドカップでの惨敗、さらにはワールドカップ後も連敗し、昨年9月15日の時点では27位(欧州内では17位)まで順位を下げてしまった。

■ランキングを上げてきたが、1歩届かず、第1シードから外れる

 しかし、そこからはローラン・ブラン体制が機能し始め、順位を徐々に上げ、最新の7月27日の時点では15位まで順位をあげた。しかし、この世界で15位というランキングも欧州内では10番目にとどまる。すなわち、9グループで争われる欧州地区の予選において第1シードに入れないことを意味する。
 欧州地区の予選で第1シードに入ったのはスペイン(世界ランキング1位)、オランダ(2位)、ドイツ(3位)、イングランド(6位)、ポルトガル(7位)、イタリア(8位)、クロアチア(9位)、ノルウェー(12位)、ギリシャ(13位)というメンバーである。
 もしも、ワールドカップ予選の組み合わせが前回大会までのように年末に行われていれば、現在のフランスのチーム状態から言ってランキングをあげて、第1シードに入ることができたであろう。(続く)

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