第1464回 スペイン戦、敵地で貴重なドロー(2) 3連敗から流れを変えたいフランス

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■盤石の強さを誇るスペイン相手に3連敗

 就任4試合目のホームの日本戦で敗れ、その4日後には最大の難敵との対戦を迎えるフランス代表のディディエ・デシャン監督、スペイン戦では非常に厳しい戦いを覚悟しなくてはならない。
 2年前のワールドカップ、今年の欧州選手権で危なげない戦いで優勝したスペイン、実はその予選でも圧倒的な強さで勝ち抜いており、ワールドカップ、欧州選手権の予選では24試合負けなしという盤石の強さを誇っている。さらにフランスが得意としているポゼッションサッカーではフランスを上回るレベルのサッカーを展開する。最近のフランスとスペインの戦いでは、ボールを触ることができなかったフランスには全く勝機がなく、それが3連敗という結果となっている。

■マドリッドで初めて予選を戦う両チーム

 今回のワールドカップ予選でも、グルジアとベラルーシにアウエー連勝しており、このグループIはまさにスペインとフランスの一騎打ちとなった。さて、マドリッドのビセンテ・カルデロン競技場、アトレチコ・マドリッドの本拠地であり、クラブレベルでも多くのフランスのチームがここで戦ってきた。スペイン代表はマドリッドやバルセロナという大都市だけではなく、地方都市で試合を行うことが多い。これまでに唯一の予選での対戦はセビリアで行われたが、今回は首都マドリッドでの試合となった。

■スペインに挑むフランスのイレブン

 そのビセンテ・カルデロン競技場のピッチに立ったメンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右サイドはマチュー・ドビュッシー、左にパトリス・エブラ、中央はローラン・コシルニーとママドゥ・サコ、MFは3人、守備的な位置にマキシム・ゴナロン、攻撃的な位置の右にはヨアン・カバイエ、左にブレーズ・マツイディ、FWは右にジェレミー・メネス、左にフランク・リベリー、中央にカリム・ベンゼマという陣容である。
 サンドニの日本戦と比較すると、DF陣で入れ替わったのは、左サイドをガエル・クリシーから経験豊富なエブラに変える。これは日本戦の最後にこのサイドからあげられたクロスが決勝点につながった思い出を払拭したいのであろう。その代り、懸案のストッパー陣であるが経験の少ないコシルニーとサコが日本戦に続いて出場するが、これ以外にメンバーがいないというのがフランスの課題である。
 MFは守備的MFはエチエンヌ・カプーからゴナロンに変わったが、ゴナロンは日本戦に途中から出場している。スペインがボール支配率においては優位に立つことが予想されることからこのポジションは重責である。本来ならば20年前にこのポジションを務めていたデシャン監督自身が出場したいくらいであろう。またシソッコに変えてカバイエを起用、日本戦はストッパー2人、MF3人の5人すべてが代表出場歴10試合未満という若いメンバーばかりであったが、スペイン戦ではここにカバイエが入る。
 攻撃陣であるが、日本戦は後半途中から出場したリベリーがオリビエ・ジルーに代わって先発出場する。そして日本戦で大活躍をしたベンゼマが左サイドから中央の位置に陣取る。ベンゼマはレアル・マドリッドの選手であり、名誉のブーイングで迎えられる。

■自身の現役時代はスペインを圧倒したディディエ・デシャン監督

 スペインと最近の対戦は今年の欧州選手権の準々決勝で0-2、2010年の親善試合で0-2、2008年の親善試合で0-2と3連敗しているが、最後に勝利したのは2006年のワールドカップの決勝トーナメント1回戦のことである。前回の本連載で紹介したとおり、デシャン監督自身の現役時代の戦績は4勝1分、デシャン監督が最初にスペインと対戦したのは1991年2月、翌年にスウェーデンで行われる欧州選手権の予選でのことである。この試合を迎えるまでフランスはスペインになかなか勝てなかったが、このパルク・デ・プランスでの勝利以降、流れが変わり、フランスが2008年まで5勝1分1敗と圧倒してきた。
 さて、スペインに傾いている流れをフランスは変えることができるであろうか。(続く)

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