第1606回 プレーオフをにらむフランス(3) プレーオフで上位4か国に届かないフランス

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2位のうち上位8か国だけが出場できるプレーオフ

 前回と前々回の本連載ではフランスの所属するグループI以外の8グループの終盤の状況を紹介した。ほぼ2位が確定しているフランスにとって最大の関心事はプレーオフで対戦するであろう2位の顔ぶれである。なお、欧州予選はグループAからグループIまでの9グループで行われる。2位チームは9チーム存在するが、このうち成績のいい8チームがプレーオフに進出する。グループAからHまでの8グループは6チーム、グループIは5チームとチーム数が異なる。このため、グループAからHまでの8グループの2位チームは最下位のチームを除く5位までの上位4チームとの対戦成績、グループIは全チームとの対戦成績で比較する。なお、グループIは組み分けの段階で第6シードのチームが入っていないため、順当にいけば第5シードまでの対戦成績でプレーオフ出場を争うことになる。

■プレーオフに出場濃厚なフランス

 フランスについては残り2試合で勝ち点14、他のグループの2位を見るとすべて残り2試合であり、勝ち点13がブルガリア(グループB)とアイスランド(グループE)、勝ち点14がハンガリー(グループD)である。ブルガリアはすでに最下位のマルタと2試合しており2章、アイスランドも最下位のキプロスは1戦しており1勝、ハンガリーも最下位のアンドラと1戦しており1勝しており、2位の中でのプレーオフ争いの上での勝ち点は2勝あるいは1勝分少なくなる。このように考えるとフランスは2位を確定しているだけではなく、プレーオフ出場も決定的であり、これから約2か月の間にどのように準備していくかが重要であろう。

■2位候補は実に20か国

 そして2位争いを占うならば、ほぼ2位が決定的なのがグループAのクロアチアとグループCのスウェーデンである。グループB、グループDとグループEは首位が独走し、2位争いは混戦である。グループBはブルガリアとデンマークが競り合い、グループDはハンガリー、トルコ、ルーマニアの戦い、グループEは大混戦でアイスランド、スロベニア、ノルウェー、アルバニアにチャンスがある。グループFとグループGは首位と2位の争い、グループFはロシアとポルトガルの戦い、グループGはボスニア・ヘルツェゴビナとギリシャの戦いで首位になれなかったチームが2位となる。さらに1位から4位までが勝ち点差わずか3の中にひしめき合っているグループHはイングランド、ウクライナ、モンテネグロ、ポーランドのうちいずれかのチームが2位となる。
 この段階からプレーオフの情報収集と分析ができるということはフランスにとっては大きなアドバンテージである。しかし、ここまでリストアップしただけでフランス以外の2位候補は実に19チームに上る。フランスのスカウト陣は11月のプレーオフに向けてこれらのチームを分析することになるが、対戦相手を絞って情報収集と分析を行いたいところである。

■FIFAランキングで決めるプレーオフのシード

 プレーオフ出場チームは8チームであるが、組み合わせ抽選の際にシード分けがある。それはFIFAランキングで上位と下位の4チームに分け、上位4チームと下位4チームが対戦し、上位4チームは第1戦をアウエーで戦い、第2戦をホームで戦うことになる。
 フランスを含み、プレーオフに出場する可能性のある国の9月の予選が終了した段階でのFIFAランキングを見ると10位クロアチア、11位ポルトガル、12位ギリシャ、15位ロシア、17位イングランド、18位ボスニア・ヘルツェゴビナ、22位スウェーデン、25位フランスとなっている。もちろん10月の国際試合で変動はあるが、フランスより上位のランキングの国には、ほぼ2位を確定しているクロアチア、スウェーデン、そして首位争いを行うポルトガルとロシア、ギリシャとボスニア・ヘルツェゴビナの名前が並ぶ。どうやらフランスは上位4か国には入ることができず、下位4か国としてプレーオフ第1戦をスタッド・ド・フランスで迎えることになりそうである。(この項、終わり)

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