第2340回 驚きの23人を選出(1) 代表歴の浅い選手を多数選出

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■5月17日に発表した23人のリスト

 ヨーロッパリーグの決勝戦、フランスリーグの最終節について本連載で紹介してきたが、その間の5月17日にディディエ・デシャン監督はワールドカップに向けたメンバーを発表した。発表されたメンバーは本登録メンバー23人と予備メンバー11人であったが、予想しないような驚きのメンバーとなった。
 まずは23人のリストを紹介しよう。GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、アルフォンス・アレオラ、DFはルカ・エルナンデス、プレスネル・キンペンベ、バンジャマン・マンディ、バンジャマン・パバール、アディル・ラミ、ジブリル・シディベ、サミュエル・ウムティティ、ラファエル・バラン、MFはエンゴロ・カンテ、ブレーズ・マツイディ、スティーブン・エンゾンジ、ポール・ポグバ、コランタン・トリッソ、FWはアントワン・グリエズマン、オリビエ・ジルー、フローリアン・トーバン、キリアン・ムバッペ、ウスマン・ダンベレ、トマ・ルマール、ナビル・フェキルという陣容である。

■2016年欧州選手権のメンバーはわずか9人

 直近の国際大会である2016年の欧州選手権にエントリーしたメンバーのうちロリス、マンダンダ、ラミ、ウムティティ、カンテ、マツイディ、ポグバ、グリエズマン、ジルーのわずか9人しか選出されていないのである。欧州選手権は地元開催でデシャン監督も照準を合わせてきた大会であったが、ベテラン選手はそれほど多くなく、当時30歳以上の選手は8人いたが、実質的に代表から退いているのはパトリス・エブラくらいである。一方、欧州選手権時に22歳以下だった若手の選手は4人いたが、そのうち選出されたのはウムティティだけである。

■代表出場回数が10回以下の選手がほぼ半数

 年齢よりはむしろ代表での出場歴の少ない選手が多数選出されているのが驚きである。代表出場歴が10試合以下の選手は、アレオラ(0試合)、エルナンデス(2試合)、キンペンベ(1試合)、マンディ(4試合)、パバール(3試合)、エンゾンジ(2試合)、トリッソ(6試合)、トーバン(3試合)、ダンベレ(9試合)、ルマール(10試合)、フェキル(10試合)と半数近い11人に上る。
 第3GKのアレオラは出場試合数こそ0であるが、継続して代表戦に招集されており、実質的に初代表という選手は誰もいない。

■予想外の選出となった選手たち

 昨年10月に予選を突破して、昨年11月にウェールズ、ドイツと親善試合、今年3月にロシアと親善試合を行って戦力をテストしてきた。パバールとエンゾンジは昨年11月に代表に初めて入ったが、3月にはエンゾンジは招集されず、パバールも1試合の出場にとどまった。この2人がそのままメンバーに入ったことは驚きであった。そしてこのときの連戦で代表に久しぶりに復帰したのがフェキルとアントニー・マルシャルである。マルシャルは3月の親善試合でもメンバーに選ばれたが、フェキルはメンバーから外れる。しかしながら結局23人に残ったのはマルシャルではなくフェキルであった。マルシャルを抑えてフェキルが最終リストに入ったことも意外であると言えるであろう。
 その3月の親善試合で初めて代表入りしたのがエルナンデスとウィサム・ベンイェデルであるが、エルナンデスがアトレチコ・マドリッドでの活躍もあってメンバー入りした。
 それ以外にはトーバンの当選も驚きであろう。フランス代表入りしたのは1年前の3月、ルクセンブルクとのワールドカップ予選、スペインとの親善試合の際に大量の新人のうちの1人として招集された。同時期に初招集となったのはマンディ、トリッソ、ムバッペである。代表メンバーとして定着したムバッペ、トリッソと比較するとトーバン、マンディは代表でのキャリアをほとんど積み上げることができなかったが、全員が代表入りしたのである。
 またコンゴ民主共和国の代表入りの可能性もあったキンペンベも早くから代表に招集されていたが出場機会は今年3月のロシア戦だけであったが、23人の1人となったのである。(続く)

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