第2341回 驚きの23人を選出(2) メンバーから外れた有力選手たち

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■キャリア十分の選手も少なくない11人の予備メンバー

 5月17日にディディエ・デシャン監督が発表した23人のリストは多くの代表歴の浅い選手が選出され多くのファンにとっては予想外となった。
 前回の本連載ではメンバー入りした23人を紹介したが、それ以外に11人の予備メンバーも発表している。GKのブノワ・コスティル、DFのクルト・ズーマ、ルカ・ディーニュ、マチュー・ドビュッシー、MFのアドリアン・ラビオ、ムーサ・シッソコ、ママドゥ・サーコ、FWのウィサム・ベンイェデル、キングスレー・コマン、アントニー・マルシャル、アレクサンドル・ラカゼットというメンバーである。
 代表出場試合数が10試合以下というのは第3GKのコスティル(1試合)、3月に代表入りしたばかりのベンイェデル(1試合)とズーマ(2試合)、ラビオ(6試合)だけであり、これまでに58試合に出場しているシッソコ、代表経験が28試合のサーコ、27試合のドビュッシーのようにキャリアを積んだ選手もいる。

■所属クラブで活躍するアドリアン・ラビオとアレクサンドル・ラカゼット

 この予備メンバーの中で代表入りしなかったことが不思議なのはラビオ、ラカゼット、ディーニュなどである。ラビオは世界のトップクラスのメンバーの集まるパリサンジェルマンでレギュラーの座を獲得し、アンダーエイジの代表からフル代表に2016年に昇格したが、なかなか代表チームで良いパフォーマンスを残すことができなかったことが予備メンバーに回った理由であろう。
 そしてラビオよりも不思議なのがラカゼットである。昨季までリヨンに所属し、2014-15シーズンにはリーグ最優秀選手と得点王に輝く。そして2016-17シーズンにもエディンソン・カバーニに次いでリーグで得点2位になり、今季イングランドのアーセナルに移籍して活躍していた。2010年の19歳以下の欧州選手権の優勝メンバーであり、2013年に代表入りしている。しかしながら2014年ワールドカップ、2016年欧州選手権とともにメンバー入りできなかった。そして今回もまたメンバーから外れたのである。ラカゼットの場合はオリビエ・ジルー、キリアン・ムバッペ、アントワン・グリエズマンという攻撃陣のタレントとの関連でメンバーから外れたと言えよう。

■左サイドDF候補の最右翼だったルカ・ディーニュ

 一方、ポジション的にメンバー入りが有力視されていたにもかかわらずリストになかったのがディーニュである。前回のワールドカップにはチーム最年少の20歳で出場する。ディーニュにファウルしてレッドカードを受けたエクアドルの選手の後ろ姿は記憶に鮮明である。また、2016年の欧州選手権も試合出場の機会こそなかったが準優勝メンバーとなっている。そしてフランス代表の左サイドDFのパトリス・エブラが実質的に引退し、空き席となり、その最右翼の候補が昨年秋の段階ではディーニュであった。しかし、パリサンジェルマンからスペインのバルセロナに移籍し、ジョルディ・アルバの控えとなり出場機会に恵まれないまま今日に至っている。特に3月以降はバルセロナでの出場機会はわずか2試合、しかもそのうち1試合は本来の左サイドではなくストッパーを務めている。そして、メンバー発表の直前のヨーロッパリーグ決勝では同じスペインのアトレチコ・マドリッドに所属するルカ・エルナンデスが大活躍、シーズン当初は控えだったエルナンデスがしっかりとレギュラーとして活躍している姿がデシャン監督には印象的だったのであろう。24歳のディーニュは23人に入ることができなかった。

■ヨーロッパリーグでの負傷に泣いたローラン・コシエルニーとディミトリ・パイエ

 そして、予備メンバーにも入ることができなかったのがヨーロッパリーグで負傷したローラン・コシエルニーとディミトリ・パイエである。アーセナルに所属するコシエルニーはヨーロッパリーグの準決勝のアトレチコ・マドリッド戦でアキレス腱を断裂し、2012年欧州選手権以来ストッパーとして活躍してきたが、その姿をロシアで見ることができない。またパイエはヨーロッパリーグの決勝で負傷する。メンバー発表の前日の悲劇であった。(この項、終わり)

このページのTOPへ