第2884回 ワールドカップ予選、9月の3連戦(7) 欧州選手権に初出場したフィンランド

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■首位フランスは9月7日にフィンランドと対戦

 9月の初めに行われるワールドカップ予選、フランスは10月にUEFAネーションズリーグのファイナル4のために予選ができないこともあり、9月に予選を3試合行う。グループDで9月に予選3試合が組まれているのはフランスとカザフスタンだけであり、残りのウクライナ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、フィンランドは予選2試合と親善試合1試合を行う。
 9月の最終戦となる7日の戦いを控えた段階での順位表を確認しよう。首位はフランス、5試合消化し2勝3分、得失点差は+3である。2位は勝ち点5で2チームが並ぶが、フィンランドは3試合消化し、1勝2分、得失点差+1、ウクライナは5分で得失点差±0となる。4位も勝ち点2で2チームが並び、ボスニア・ヘルツェゴビナが2分1敗、得失点差-1、カザフスタンが2分2敗、得失点差-3となっている。

■欧州選手権の予選を初めて突破したフィンランド

 9月7日にはボスニア・ヘルツェゴビナ-カザフスタン、フランス-フィンランドの2試合が行われる。フィンランドは北欧のスウェーデン、デンマーク、ノルウェーといった国に囲まれ、それらの国々との交流をしながらも、なかなかワールドカップ、欧州選手権の予選を勝ち抜くことができなかった。これまで本大会出場の経験がなかったが、ついに今回の欧州選手権では初出場を果たした。2019年3月に始まった欧州選手権予選、フィンランドはグループJに入る。このグループの最有力チームはイタリアである。フィンランドは予選の初戦でイタリアとウディーネで対戦し、0-2で順当に敗れる。しかし、第2戦以降は白星を重ねる。終わってみれば、イタリアが10戦全勝でトップ、フィンランドはイタリアに連敗、ボスニア・ヘルツェゴビナに1敗しただけで、それ以外の6試合は全勝、最終戦を待たずして2位を確定し、本大会出場を決めた。

■世界を驚かせたスタッド・ド・フランスでのフランス戦勝利

 フィンランドは2018年秋から始まった第1回のUEFAネーションズリーグではリーグCであったが、ハンガリー、ギリシャ、エストニアを押さえて首位になり、グループBに昇格している。そして2020年秋に行われた第2回大会でも4勝2敗と勝ち越し、首位はウェールズに譲ったものの、アイルランド、ブルガリアより上位の2位に入っている。このように2018年から上昇傾向にあるフィンランドであるが、欧州選手権出場を前に世界を驚かせる勝ち星をあげた。
 それが昨年11月11日のフランスとの親善試合である。世界チャンピオンとなったフランスは第1回のUEFAネーションズリーグではグループ首位を逃したが、第2回のUEFAネーションズリーグでは世界チャンピオンの意地を示し、欧州チャンピオンのポルトガルとの首位を争う。そのポルトガルとの頂上決戦を3日後に控えた状態でスタッド・ド・フランスでフィンランドと親善試合を行った。それまでフランスとフィンランドの戦績はフランスの8戦全勝、フランスにとってはフィンランドに完勝したよいリズムでポルトガル戦に向かうはずであった。
 しかし、フランスはこの日が代表デビューとなったマルクス・テュラムがバーに阻まれて先制の機会を逃すと、逆に28分にマルクス・フォルスがスティーブ・マンダンダとの1対1のチャンスを決めて先制する。さらにオンニ・バラカニのミドルシュートによって追加点を奪われる。結局、フランスは、ホームで2年8か月ぶりの敗戦となる。そして、この敗戦以降、フランスは一度も負けていないのである。

■欧州選手権初戦でもデンマーク相手に勝利、惜しくも決勝トーナメント進出を逃す

 金星をあげたフィンランドは欧州選手権の初戦でまた驚きを与えた。グループBはベルギー、デンマーク、ロシアと難敵が集まる。初戦の相手は北欧のデンマーク、これまで11勝11分38敗と大きく負け越しており、コペンハーゲンでの試合であった。しかし、フィンランドはヨエル・ポーヤンパロが決勝点を入れて欧州選手権での初めての試合を白星で飾った。ベルギー、ロシアに連敗し、3位となり、ウクライナに得失点差で1及ばずに決勝トーナメントを逃したが、力をつけてきたことを世界に示したのである。(続く)

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