第2914回 フランス、5大会連続でワールドカップ予選突破(2) 1993年のブルガリア戦以来のパルク・デ・プランスでのワールドカップ予選

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■20年ぶりに予選突破を決めた2006年ワールドカップ

 フランスは、11月13日にパルク・デ・プランスで行われるカザフスタン戦で勝利すれば、5大会連続でワールドカップ出場が決まる。前回の本連載からタイトルの「5大会連続」という表現に違和感を持つ読者の方も少なくないであろう。フランスは1998年の自国開催のワールドカップ以来、これまで6大会連続でワールドカップに出場している。しかし、1998年大会は開催国として予選が免除され、2002年大会は前回王者として予選が免除されている。したがって、今回予選を突破すれば2006年大会以来5大会連続となるのである。そして2006年大会の前にフランスが予選を戦って突破したのは1986年大会までさかのぼらなくてはならない。1990年大会、1994年大会と予選で敗れたフランスは2006年大会で実に20年ぶりの予選突破を果たしたのである。

■パルク・デ・プランスでの最後のワールドカップ予選は2連敗で終わる

 そして1994年大会までの予選でホームゲームを開催してきたのが、今回のカザフスタン戦の舞台となるパルク・デ・プランスである。1998年にスタッド・ド・フランスが完成してからはスタッド・ド・フランスにフランス代表のホームスタジアムの座を譲っている。1998年以降にパルク・デ・プランスでフランス代表の試合が開催されるのはこれが3回目である。スタッド・ド・フランスがラグビーワールドカップと重なった2007年秋の欧州選手権予選のスコットランド戦、2013年秋の豪州との親善試合だけである。すなわち、スタッド・ド・フランスが完成してから初めて行われるワールドカップの本予選の試合となるのである。そしてフランスが最後にワールドカップの本予選でこのパルク・デ・プランスで試合をしたのは1994年米国大会予選の最終戦、1993年11月17日のブルガリア戦である。この試合は後半のアディショナルタイムの悲劇的な失点で、フランスはアメリカ行きを逃してしまう。実はフランスはその1月前に同じパルク・デ・プランスで開催されたイスラエル戦でも同じように後半のアディショナルタイムに失点して敗れており、パルク・デ・プランスの最後の歴史は連敗となっている。最後にワールドカップ予選でフランスが勝利したのは1993年4月28日のスウェーデン戦までさかのぼらなくてはならない。

■当時から中心選手であったディディエ・デシャン

 この時代に中盤の選手として活躍していたのがディディエ・デシャン監督である。パルク・デ・プランスで連敗した2試合でいずれもフル出場している7人の選手のうち1人がデシャンであり、それ以来久しぶりのパルク・デ・プランスでのワールドカップ予選ということで特別な感情を持っているはずである。
 また、前回の本連載で紹介した通り、11月15日は6年前にパリならびにスタッド・ド・フランスで同時多発テロが発生した日である。その時にスタッド・ド・フランスで行われていたフランス-ドイツ戦の指揮を執っていたのもデシャン監督である。

■ワールドカップ予選突破に向けた23人のメンバーを発表

 デシャン監督は11月4日にカザフスタン戦、フィンランド戦に臨む23人のメンバーを発表した。GKはウーゴ・ロリス、アルフォンス・アレオラ、ブノワ・コスティルの3人、DFはプレスネル・キンペンベ、ダヨ・ウパメカノ、ルカ・ディーニュ、レオ・デュボワ、ジュール・クンデ、バンジャマン・パバール、ルカ・エルナンデス、テオ・エルナンデス、クルト・ズーマの9人、MFはマテオ・ゲンドウジ、ポール・ポグバ、アドリアン・ラビオ、エンゴロ・カンテ、オーレリアン・チュアメニの5人、FWはアントワン・グリエズマン、キリアン・ムバッペ、カリム・ベンゼマ、ムサ・ディアビ、キングスレー・コマン、ウィッサム・ベン・イェデルの6人である。その後、負傷のためキンペンベが外れてクレマン・ラングレが入り、ポグバもひざを負傷し、10月にメンバー入りしていたジョルダン・ベレトゥを追加で招集した。
 これらのメンバーの中で6年前の同時多発テロの試合に出場していたのはロリスとグリエズマンだけなのである。(続く)

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