第3113回 準々決勝のイングランド戦 (5) オリビエ・ジルーが決勝点、イングランドにワールドカップで初勝利
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランス代表のアシスト数で単独トップとなったアントワン・グリエズマン
準々決勝最後の試合であり、屈指の好カードとなったフランス-イングランド戦、フランスは得意の両サイドからの攻撃が封じられたが、トップ下にはいている司令塔ともいうべきアントワン・グリエズマンの判断が冴える。19分にペナルティエリアのすぐ外で前方に走り込んだ右サイドのウスマン・デンベレではなく、後方にボールを戻し、オーレリアン・チュアメニが電光石火のミドルシュートを決めて先制点はフランス。
グリエズマンはこれが代表通算で27アシストとなる。これまでのフランス代表のアシスト記録は26、グリエズマンはティエリー・アンリとジネディーヌ・ジダンと並んでいたが、このチュアメニへのパスで単独トップとなった。今大会に入ってフランス代表は得点ではオリビエ・ジルー、アシストではグリエズマンが通算記録を塗り替えた。
■逆襲に出たイングランド、試合を支配する
ゴールの後の歓喜もつかの間、追い付こうとするイングランドは21分にルーク・ショー、がフランスのゴールを襲う。さらに22分にはブカヨ・サカからのパスをケインがシュートしたが、トットナム・ホットスパーのチームメイトのウーゴ・ロリスがセーブする。これがこの2人の戦いの序章であった。
25分にペナルティエリアのライン上でダヨ・ウパメカノがケインを倒してしまう。VARの結果、PKとはならなかったが、イングランドの直接FKとなる。キッカーはケインである。ケインのシュートをロリスはパンチングでCKに逃れる。イングランドの攻撃は続く。フィル・フォーデンの右サイドからのCKはアドリアン・ラビオがクリアする。さらにケインはボールを持ち込み、今度はラビオはファウルで止める。1点を先行してからのフランスは守りに入ったこともあるが試合をイングランドに支配される。その中で状況を打開しようと動いたのがグリエズマンである。左右に動き、これまでの試合であれば、再度のプレーヤーだけで崩せた相手を自らがサポートに回った。また前後にも動いて守備の意識も高く、43分にはカイル・ウォーカーを止めるためにイエローカードをもらった。
■トットナム・ホットスパーのウーゴ・ロリス相手にPKを決めたハリー・ケイン
エンドの代わった後半の立ち上がり、イングランドはジュード・ベリンガムがシュート、これをロリスがまた防ぐ。ところが51分、チュアメニがペナルティエリア内でサカのスピードについていけずに倒してしまう。PKがイングランドに与えられ、キッカーはケイン、GKはロリス、トットナムのチームメイト同志、手の内を知り尽くしている2人の戦いはケインに軍配が上がり、ロリスはケインのシュートとは反対にジャンプ、ケインのシュートがゴールネットに突き刺さり、イングランドは同点に追いついた。ケインは代表通算53ゴール、ウェイン・ルーニーの記録と並ぶ。
■オリビエ・ジルーの勝ち越しヘディングシュート、2本目のPKを失敗したケイン
イングランドの時間が続いたが、フランスは77分にオリビエ・ジルーがシュート、ジョーダン・ピックフォードがCKに逃げる。このCKからの攻撃のクリアボールをフランスは拾い、左サイドからのクロスが入る。このクロスをジルーが、ヘディングで決めてフランスは勝ち越す。ジルーはケインと同じ試合で代表通算53ゴールを決め、自身の持つ通算得点記録を更新した。
残り10分余りとなり、ガレス・サウスゲイト監督は次々に選手を交代させる。その交代出場してきたメイソン・マウントがテオ・エルナンデスに倒される。VARの結果、PKがイングランドに与えられる。この試合2本目のPKとなり、またもキッカーはケインである。今日2度目のPKとなり、慎重にキックの準備に入る。ケインは1本目と同じ方向を狙ったが、ボールはバーの上、同点のチャンスを逃した。
後半のアディショナルタイムは8分、この間にイングランドは途中からこう相出場してきたラヒーム・スターリングやマーカス・ラシュフォードが得点機を作るが、追い付けず、フランスが2-1と勝利。ワールドカップでイングランドに初勝利、準決勝に進出したのである。(この項、終わり)