連覇を狙うフランス・サッカー EURO2001 女子欧州選手権(前編)

注目を集める女子サッカー

 EURO2000の感動からほぼ1年、EURO2001がやってきた――ドイツの5都市でサッカーの女子欧州選手権が開催されたのだ。1998年に就任したFIFAのセップ・ブラッター会長は、ジョセフ・アベランジェ前会長がアジア・アフリカなどのサッカーの普及に尽力したように、女子サッカーの普及に力を入れ、徐々にその成果を上げつつある。しかもこの大会の開催地が、2006年のワールドカップと同じドイツであることなどから、これまでになく注目を集めることとなったた。
 1984年に始まった「UEFA欧州女子トーナメント」が91年に「女子欧州選手権」として生まれ変わり、奇数年に行われてきた。また女子サッカーは91年にワールドカップが中国で始まり、96年のアトランタ・オリンピックから正式種目に採用されるなど、90年代に国際大会が本格化した。それぞれの大会の優勝国とその回数は、欧州選手権ではドイツが3回、スウェーデンが1回(99年はワールドカップと重なったため開催されず)、ワールドカップは米国2回、ノルウェー1回、オリンピックは米国1回、ノルウェー1回とゲルマン諸国と米国が占めており、これに続く勢力としてワールドカップとオリンピックでそれぞれ準優勝している中国が挙げられる。
 全世界の女子サッカーの競技人口は2200万人と推定されるが、女子サッカーのメッカ米国ではそのうちの約4割の800万人を占めており、競技人口の広がりがレベルの高さを反映している。

女子サッカー強化に乗り出したフランス

 さて、フランスのサッカーは男子が目下3冠を獲得している一方、女子は前回の欧州選手権(グループリーグで敗退)しか国際大会での実績がない。これは競技人口の少なさに起因している。フランスで200万人の競技人口を誇る男子に対し、女子の競技人口はわずか4万人。欧州全体の女子サッカーの競技人口300万人に対しても非常に少ない。フランスにおいてサッカーは、女子の球技としてはバスケットボール(17万人)、ハンドボール(9万人)、バレーボール(5万人)に次ぐ、第4の球技である。ただ、バスケットボール、ハンドボール、バレーボールの場合、競技人口全体に占める女子の割合が3割から5割であるのに対し、サッカーの場合は女子の比率が極端に低いのである。
 フランス協会は女子サッカーの普及と強化のために力を入れ始め、男子がワールドカップを制覇した98年には世界に先駆けてクレールフォンテーヌに女子のナショナルトレーニングセンターを設置し、今回の欧州選手権の代表メンバーに3人(ホダ・ラタフ、ソニア・ボンパストール、マリー・クビアック)が選出された。国際試合も頻繁に行い、強豪のノルウェーに0-0、中国と1-1と引き分け、スウェーデンには2-1で勝つなど急速に力を上げてきた。また欧州選手権に向けて合宿を重ね、ダークホースといわれるまでになり、本大会では好成績を挙げて2007年ワールドカップの開催地を目指そうというまでのレベルになってきた。(つづく)

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