伝説を築く「ブルー」の真価(5) ~唯一の勝利、日本戦を振り返る~後編

疑問を持たざるを得なかったマッチメーク

 後半は4日後のスペイン戦も考慮してメンバーを次々と代えるが、特筆すべきは53分にアンリに代わって出場したダビッド・トレゼゲである。63分と69分にゴールをあげて、26試合、1189分間出場で11得点という抜群の得点力を誇る。つまり108分間に1点をあげる計算となっており、これは歴代のフランス代表の中ではジュスト・フォンテーヌの63分間に1点に次ぐ成績であり、3位のジャン・ピエール・パパン(142分間に1点)、4位のミッシェル・プラティニ(153分間に1点)をしのぐ素晴らしい成績である。なお、トレゼゲはスペイン戦でも途中出場で得点を決め、27試合、1202分間出場で12得点となっている。
 結局、スコアは5-0、観客が途中で席を立たなかったのはあらかじめ大差を予想した主催者が試合後に花火を打ち上げる計画をしていたからで、世界でもトップレベルの花火王国の日本イレブンが異国の花火以下の評価であったことは事実であろう。

 マッチメークに問題がないわけではない。親善試合というのは両国協会が互いの力量、品位に敬意を表して行われるものであり、力量に大差のある相手とは対戦せず、ワールドカップや欧州選手権予選とは異なり僅差の試合が普通である。
 フランス代表の国際試合での最多得点差は1995年9月6日にオセールで行われた欧州選手権予選のアゼルバイジャン戦の10-0。しかし、親善試合となると1913年4月20日にサンドニの隣町のサントゥーアンで行われたルクセンブルグ戦の8-0が最多であり、それに次ぐのは1960年3月16日のパリでのチリ戦と1979年5月2日のジャイアンツ・スタジアムでの米国戦の6-0、そして1953年5月14日のコロンブでのウェールズ戦の6-1、1972年6月11日にブラジルのサルバドールでの中米選抜戦の5-0が続き、今までフランス代表は393試合の親善試合を行っているが5点差以上の試合は日本戦を含め6試合だけである。
 これらはフランスがそれほど国際的に注目を浴びていなかった20年以上前のものばかりであること、そして3月28日のスペイン戦が20年ぶりの敗戦、22日のドイツA'戦も代表ならびにそれに準じるチーム相手に15年ぶりの敗戦であったことを考えると、今回の5点差がついた日本とのマッチメークは疑問を持たざるを得ない。

「48年前に日本代表が戦後初の欧州遠征を行い、それ以来のパリ訪問である。パリは観光地として訪れ、ムーランルージュ(ピガールにあるキャバレー)を覚えている」
「フランスのサッカーについてはよく知らない。フランスについて知っているのはワインだ」
 前者は日本サッカー協会会長、後者は現在イタリアのクラブチームに所属する日本代表選手の言葉として、『レキップ』誌に掲載されたものである。こういう言葉が事実だとすると、内容やスコアだけではなく品位という点でも日本との対戦を残念に思うのである。(了)

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